重大な決断が迫られる!! 日産GT-Rが生き残るにはEV化しかない!?


EVで問題になるのは1充電での航続距離

 GTカーのEV化によって、懸念材料と思われるのが、一充電での走行距離だろう。果たしてグランド・ツーリングをかなえられるのか?

 タイカンの例では、空調を使い気温20℃のときに満充電で310kmとある。市街地30%、高速30%、郊外路40%という配分での走行を想定しての数値だ。高速道路をどれくらいの速度で走り続けるかといった走行条件や、季節の違いによる気温の高低によっても距離は違ってくる。

 それでも、300km以上走れるなら、旅はできるし、そこで充電すれば足を伸ばせる。EVの充電では、急速充電時間が話題に上るが、旅とは、時間の早さだけが価値ではない。充電中に食事もするだろうし、景色を眺め写真を撮ったりすることも、旅の楽しみではないか。そうしたことをやっていると、30分はあっという間に過ぎてしまう。

 仕事で先を急ぐのであれば、EVという選択は最適ではないかもしれない。しかし、現実的に300km以上を一回の休みもなく走り通すのは現実的ではない。

 そして、いざEVを体験すれば、EVなりの暮らしが身に着き、EVなりのグランド・ツーリングの楽しみを発見するだろう。ちなみに、フェルディナント・ポルシェ博士が最初に制作したクルマは、EVであった。

 そのうえで、どれくらいの超高速を目指すのかという点でも、時代の転換期を迎えている。

 高速で走るほど、空気抵抗の負担が増える。速度の2乗で抵抗は高まるので、速度が2倍になったら、空気抵抗は4倍大きくなるということだ。それは、エンジン車も同じである。

 ことにEVでは、適切な速度でないと充電した電力を速く消費してしまう懸念があるのは事実だ。たとえば、メルセデスベンツのEQCは、最高速度を180km/hとしている。それが現実的な速度感覚だ。

メルセデスベンツEQC。EVのネックは電池搭載による大幅な重量と高負荷時の効率の悪さだろう。この車も2.5トンに達する。180kmの最高速度は速さと効率を考慮した上での最適解なのだろう

 それとは別に、スウェーデンのボルボは、交通事故死者・重症者をゼロにする取り組みのなかで、世界のすべての市場で販売する新車の最高速度を、180km/hまでとする取り組みをはじめている。

 一般的な乗用車においては、適切な考え方だろう。

 では、GTカーやスポーツカーはどうなのか?

 潜在能力として、それを超える超高性能を備えているのはよいとしても、次第にその価値を重視する消費者は減っていくのではないか。世界人口が過去100年の間に7倍近くに増え、過密化しているなかで、クルマでの超高速移動難しくなっていく現実もある。

 そこで、ポルシェが取り組んでいるのが、エクスペリエンスセンターという施設の世界展開だ。2021年秋、日本にも千葉県木更津で施設が開場する。そこではポルシェの性能を余すところなく楽しむことができる。

 いわば、乗馬クラブのような構想だろう。そこまで、将来的には自動運転のクルマで通う姿を私は想像している。

 GT-Rも、技術の日産の象徴として、またブランドの牽引役として、EVの4WDを極めることで価値をもたらす可能性はある。

 いっぽう、その潜在能力を発揮できる場所は、世界的にも限られてくるだろう。GTカーもスポーツカーも、走れる場所が狭まってこざるを得ない。

 馬も、馬車という価値は失ったが、乗馬クラブや競馬場でその能力をあますところなく発揮している。スポーツカーやGTカーも、そこに価値を見出す時代となっていくはずだ。

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