ニッサンGT-R(R35)が誕生したのは、2007年のことで、すでに13年が経過した。その間に数々の改良や、車種追加なども行われたが、次期GT-Rへのモデルチェンジの話はまだ届かない。
いっぽうで、フェアレディZは次期型のプロトタイプが公開され、初代フェアレディZからの身近なスポーツカーとして、V型6気筒のガソリンエンジンと、マニュアルシフトの組み合わせが紹介された。
1月27日、日産が『2030年代の早期に、日本、中国、欧州、アメリカの主要国に投入する新型車をすべて電動化する』と報道された。
さて、GT-Rは、どうなるのだろう?
文/御堀直嗣
写真/NISSAN、PORSCHE、TESLA、MERCEDES-BENZ
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GT-Rはスポーツカーではなく高性能GTカー
GT-Rがどうなるのかについて考察するに際し、フェアレディZはスポーツカーだが、GT-Rは高性能なGTカーであるという考えを述べておきたい。
海外の例でいえば、フェラーリはスポーツカーだが、ポルシェはGTカーだと私は理解している。しかし一般的には、どちらもスポーツカーと呼ばれる。
かつて、マニュアルシフトのポルシェ911を運転した際、変速操作が素早くできないことに戸惑った。シフトストロークが大きく、早く変速できなかったのだ。スポーツカーであるのになぜだろうと私は思った。
だが、「GTカーだから」と教えられ、ポルシェの操作性を納得することができた。
もちろん、ポルシェ911でのレースも行われているが、ポルシェがメーカーとして参戦してきたのは、フランスのル・マン24時間レースのような長距離を走る耐久レースが多く、実際、ル・マン24時間レースの起源は、クルマのあらゆる耐久信頼性を高めることも目的のひとつだった。
GTとは、グランド・ツーリングのことであり、偉大なる旅行、長距離を旅するという意味で、それを叶えるクルマがポルシェ911なのだ。
シフトストロークが長く、素早い変速ができなくても、高性能エンジンにより高速走行をもたらしながら、長距離を無事に走り通せる耐久性を備えていることが重要なのである。
実際、今日のポルシェを運転しても、日常的に速く走らなければという心理的負担をかけてくるようなことはない。それでいて、アクセルを踏み込めば、優れた安定性による安心を湛えながら、速度計はどんどん高みを目指すのだ。
いっぽう、スポーツカーの持ち味は、俊敏で壮快な運転感覚であり、また高回転型の高性能エンジンを操るには、素早い変速で最高出力を維持することが求められる。
レースでいえば、F1のような単距離勝負であり、その代わり、短期間での保守管理を必要とする。しかし、そうした持ち味であるのが、スポーツカーならではの面白みといえるだろう。
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