【後編】佐藤琢磨×原田哲也対談 「ところで、いつまでレースするの?(笑)」「いつまでやりましょうね?」


 二輪と四輪のモータースポーツの世界で頂点を極めた二人が豪華対談! 1993年WGP250ccクラスチャンピオンの原田哲也氏と2020年にインディ500で2勝目を挙げた佐藤琢磨選手は、15年に渡り家族ぐるみの付き合いで友情を温めてきた。

 今回はその後編で、380km/hに達するインディ500の凄まじさや難しさ、さらに佐藤選手の今後のドライバー人生にまで話題が展開。親しい二人ならではの距離感で話が弾んだ。

文/高橋剛、写真/松本浩明、協力/本田技研工業

【画像ギャラリー】原田哲也氏が佐藤琢磨選手のインディ500優勝をお祝い! 2020年のレースシーンも


二輪はライダーがマシンのよさを引き出せるけど、インディカーのレース展開は二輪に似ているかも

──二輪と四輪のレースで通じるものはあると思いますか?
佐藤 たくさんあると思いますよ。さっきのスタイルの話じゃないけど、メンタリティは共通しますし……。
 二輪レースってライダーの役割がマシン以上に重要ですよね。もちろんモータースポーツなのでマシンのエンジンや車体がしっかりバランスしていないといけないけど、手足や体を使ってマシンを自分自身そのもののように操るでしょう? あれは四輪ではまったくないことなんですよね。どんな路面状況でも乗りこなしていくライダーは本当にすごいと思います。それに二輪はライダーそれぞれのスタイルがある。最高峰クラスのMotoGPは観ていて面白いですよね。
 四輪ではF1が頂点に位置していますが、主にはマシン開発に重きが置かれています。ドライバーはもちろん大事なパートだけど、マシンの一部という位置づけなんですよね。だから二輪や他のカテゴリー以上にチーム力が大きい。F1だとトップチームに属していないと表彰台を狙うのは非常に厳しいんです。
原田 二輪の方が、ライダーが自分の体でできることが多いよね。
佐藤 そうですね。二輪はライダーがマシンのよさを引き出せるけど、F1の場合はそれが厳しい。あ、思えばオーバルでのインディカーのレース展開はちょっと二輪に似ているかも。
 マシンが大きいからサーキットやストリートコースでは二輪のような追い抜きはできないけど、オーバルだと1周の間に2回追い抜きがあったりとかする。それって、二輪レースがラスト4つのコーナーで何度も順位が入れ替わるようなものじゃないですか(笑)。走る環境は全然違うけど、リスクマネージメントの仕方も含めて、オーバルと二輪のレースはかなり通じるものがあります。
原田 インディ500も追い抜きがかなりある。
佐藤 ホントに最後の最後まで分からないんです。僕自身、それを目の当たりにしました。
 2011年、僕は2度目のインディ500だったんですけど、ルーキードライバーのジョン・R・ヒルデブランド・ジュニアがファイナルラップの最終コーナーまでレースをリードしてたんです。でも、周回遅れのマシンを避けようとして壁にクラッシュしてそのままゴールして2位。ホントに最後の最後まで分からない。

原田哲也氏

「The American Dream」であり「The American Entertainment」

原田 二輪もそういうレースが多いよね。
佐藤 だから二輪もインディカーも観客が熱狂するし、スポーツという部分がフォーカスされるカテゴリーなのかな、と思いますね。
 インディカーは低予算で1台体制を組んでるチームでも、6台体制のトップチームと渡り合える仕組みになっている。「The American Dream」であり「The American Entertainment」なんですよ。とてつもない資金を投入してコンマ1秒速くなるよりも、安く作って、その分お客さんにたくさん観てもらうスタイルです。
 コンマ1秒もコンマ2秒も、外から見ると分からないですよね。ドライバーからするとコンマ1秒差は確実な差になるけど、外から見たらそんなに変わらない(笑)。であれば、接戦のバトルを楽しんでもらった方がいい。オーバルコースがあることも含めて、インディカーはそういう風に作られてるんです
原田 エンターテインメントなんだよね。
佐藤 そう。マシンもF1に比べたらかなり前のテクノロジーが使われてて、レトロな機械式時計って感じかな。
原田 でもレギュレーションでマシンのパフォーマンスが接近してるから、ちゃんと面白いレースになるんだよね。

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