■パワーユニットの違いで差が出る? 輸入車で楽しいHVはどれ?
今やハイブリッドって当たり前の技術だと思われているけれど、世界レベルで見たら「ぜ~んぜん!」なのだった。
発電機をモーターとしても使う「マイクロハイブリッド」こそふつうに出回っているものの、モーターのパワーだけで走れるプリウスのような「フルハイブリッド」となると、ほとんど存在しない。というか日本に入ってきている輸入車のフルハイブリッド、ほぼなくなった。
すべて短い距離を電気自動車として使えるプラグインハイブリッドになっている。なぜか?
そもそも輸入車メーカーってホンキでハイブリッドに取り組んでいない。高速道路を120km/h以上で巡航することの多い使い方だとディーゼルエンジンのほうがずっと燃費よかったし、高い性能を持っていたからだ。「タイして燃費よくないのに高額」なハイブリッドは不要だったワケ。
されどCAFEという燃費規制が始まり、同時にVWの不正問題以後、ディーゼルに対する風当たりも強くなってきた。ディーゼルの販売台数、落ちる一方。けれど燃費は改善させなければならない。
その「答え」が短い距離ながら電気で走れるため、カタログ燃費を向上させることもできるPHEVなのだった。高性能エンジンにモーターを組み合わせてます。
結論から書くと「高く評価できないクルマばっかり」である。
大半はターボ過給したガソリンエンジン+多段ATミッション+モーターを組み合わせたシステム。
私が乗っている先代BMW330eはその代表のようなもの。モーターとエンジンのバトンタッチが上手にできていないため、丁寧に走らないといろんな速度域や加速域でギクシャクしてしまう。滑らかな走りにはほど遠いです。
330e買う時に迷ったメルセデスベンツC350eなんかさらに酷く、金属的なショックを伴う駆動系の断続すらあった。さらに厳しいのがブレーキのタッチ。回生と油圧の協調制御は非常に難しい。
輸入車の大半が初代プリウスのような違和感満点のペダルタッチだったりする。ということで輸入車の大半のフルハイブリッド&PHEVが退屈な、というか「気持ちよくない」と言えます。
輸入車のフルハイブリッド&PHEVを走らせる時は、ゆっくりアクセルを踏み、丁寧にブレーキかけること。トヨタのハイブリッドや、アウトランダーPHEVのようにふつうの運転で超スムーズに走ることは期待しないこと。
私の330eも丁寧に走らせれば大きなショック出さないし、エンジンモードに切り換えちゃえば高性能ターボ車になるから問題なし!
少しばかりわかりにくい表現になったけれど、輸入車はジキルとハイドのようなもの。
ジキル博士のように穏やかに走っていればOK。ハイド氏のように激しく走るのもOK。その移行を使うような走り方をしたらギクシャクする。で、一般道を走っていると、けっこう“移行期”を使う。
だから輸入車のPHEVって中古車でも人気ないし、欧州でも売れてないです。
●輸入車で“楽しい”ハイブリッド車はあるのだろうか?
じゃ楽しいフルハイブリッド&PHEVってないのか? あります。ボルボのポールスターエンジニアードだ。
このクルマ、モーターをECOではなく「楽しさ」のために使っている。ベースは直4、2Lターボとスーパーチャージャーのダブル過給を使う333ps/43.9kgmのハイパワーエンジン。そいつにフロント43ps、リア87ppsのモーターを組み合わせた。
システム最高出力は420ps! スポーツモードを選ぶとエンジンがメインになり、モーターでアシストするためまったく違和感なし! ひたすら高性能。
そして標準モードで走っていると、基本モーターでカバーできるため、EVの滑らかさを持つ。
移行期やブレンボの油圧ブレーキ(車種によってアケボノ)と回生制動のマッチングもまぁまぁ。このくらい割り切ったら面白いクルマになります。
(TEXT/国沢光宏)
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