■2020年登録車 販売トップ10かつ前年比アップ車は、やはりいいクルマか?
販売トップ10のうち、前年比アップを達成したのは3台。ヤリスとフィットを加えると5台がアップしたといえる。これらはいいクルマなのか、渡辺陽一郎氏が分析する。
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登録台数の多い車種は、たくさんの人たちが買っているので、基本的に優れた商品だ。販売の上位10車を見ると、大半の車種は5ナンバーサイズのグレードを用意する。
運転のしやすさに加えて、内外装のデザイン、車内の広さ、荷室の機能まで、さまざまな部分を日本の顧客に合わせて造り込んだ結果、好調に売れた。
アルファードは3ナンバー車だが、車内は広く豪華で、外観の存在感も強い。人気車になって前年の1.3倍売れた。
ところがアルファードの姉妹車になるヴェルファイアは、登録台数がアルファードの20%以下だ。
2020年5月からトヨタの全車をすべての販売店で買えるようになり、人気車は販売網が広がって売れゆきを伸ばす一方、不人気車は大幅に下がる二極分化となった。
アルファードが存在しなければ、ヴェルファイアが好調に売れた。しかし中身が同じで顔の違う2車種をすべての店舗で扱うと、些細な違いを分岐点として、片方だけが好調に売れてもう一方は落ち込む。
同様の理由で、ルーミーの姉妹車になるタンクは、既に廃止されている。トヨタの販売体制の変更では、姉妹車が売り方次第で残酷な結果になることがわかった。
シエンタやセレナは前年に比べて売れゆきを下げたが、それは販売の最盛期を過ぎたからだ。商品力は今でも充分に高い。
(TEXT/渡辺陽一郎)
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