クルマは最強の防災グッズ 「もしも」のためのクルマ選びと活用法

■通れた道を可視化する ホンダ「通行実績情報マップ」

 東日本大震災では交通インフラが破壊されたうえに正確な情報も入手しづらくなり、クルマが通れる道はどれなのかもわからなくなっていた。

 そんな状況下で役立ったのが、ホンダの双方向通信型カーナビ「Hondaインターナビ」だ。プローブ情報と呼ばれる、ユーザーが実際に走行した実績を「通行実績情報マップ」としてネット上に公開。

 避難・救援ルートを見つけ出すための支援ツールとして大きな役割を果たしたのだ。この通行実績情報マップは、2011年のグッドデザイン大賞にも選出されている。

ホンダ「通行実績情報マップ」
ホンダ「通行実績情報マップ」

■載せて安心、車載防災キット

 トヨタや日産、ホンダがオプションで用意する車載用の防災キット。高荷氏も「ひとつひとつアイテムを選ぶ必要がなくなるので便利」と評価する。

 メーカーによって内容物が微妙に異なるが、トイレはいずれのメーカーのものにも入っている。大雪などで車内に閉じ込められた時にも役立ってくれること確実なので、ぜひ愛車に積んでおこう。

車載防災キット
車載防災キット

■家電が使えるという安心 給電できるクルマ

 地震では電気、水道、ガスといったライフラインもダメージを受ける。そのなかでは電気が一番早く復旧し、東日本大震災でも震災後1日で50%超、3日後時点で80%弱、1週間後には95%以上の電力が復旧している。

 とはいえ震災で心理的に追い詰められている時、たとえ1日でも電気が使えないことは、多大なストレスになるはずだ。

 そこでここでは電気復旧までの期間に活躍が期待できる、給電機能を持つクルマを紹介する。ここで紹介しているクルマを愛車とすれば、日頃の備えという点で他のクルマより少し有利になるはずだ。

*   *   *

 強大なエネルギーを持つ自然災害の前に人間ができることはあまり多くなく、大震災時にクルマが使えるシーンというのは、かなり限定される。

 しかし揺れが収まった後には有利となるクルマとそうならないクルマがハッキリするので、現在次期愛車を探している人は、そういったあたりも含めて検討してみるといいのではないだろうか。

 そのほかお薦めしたいのが右ページでも紹介している防災キット。大型カー用品店でもオリジナルのものが販売されているので、購入して自分なりにアレンジを加えるといいだろう。日々の備えこそが、なによりも大事なのだ。

●レクサス UX300e(580万~635万円)

 駆動用バッテリー容量54.4kWh。ラゲッジスペース内にあるAC100V・1500Wコンセントから、400W供給で一般家庭約2.5日分の電力が供給可能(満充電時から)。

レクサス UX300e(580万~635万円)
レクサス UX300e(580万~635万円)

●トヨタ プリウスPHV(331万3000~439万2000円)

 駆動用バッテリー容量8.8kWh。駆動用バッテリーのみだと、1時間あたり400W消費で7時間、エンジン併用だと1時間あたり400W消費で5日分程度の電力供給が可能。

トヨタ プリウスPHV(331万3000~439万2000円)
トヨタ プリウスPHV(331万3000~439万2000円)

●トヨタ RAV4 PHV(469万~539万円)

 駆動用バッテリー容量18.1kWh。駆動用バッテリーのみだと1時間あたり400W消費で20時間、エンジン併用だと1時間あたり400W消費で5日分程度の電力供給が可能。

トヨタ RAV4 PHV(469万~539万円)
トヨタ RAV4 PHV(469万~539万円)

●日産 リーフ(332万6400~499万8400円)

 中継器を介し住宅に電力を供給するV2Hで、駆動用バッテリー容量40kWhの標準モデルなら2日から3日、60kWhのe+なら3日から4日分の電力供給が可能だ。

日産 リーフ(332万6400~499万8400円)
日産 リーフ(332万6400~499万8400円)

●ホンダ Honda e(451万~495万円)

 駆動用バッテリー容量35.5kWh。ポータブル外部給電装置「パワーエクスポーター9000」を介した場合で、3日分程度の電力供給が可能だ。V2Hにも対応している。

ホンダ Honda e(451万~495万円)
ホンダ Honda e(451万~495万円)

●ホンダ クラリティPHEV(598万9500円)

 駆動用バッテリー容量17.0kWh。ポータブル外部給電装置「パワーエクスポーター9000」を介した場合で、ガソリン満タンから6日分程度の電力供給が可能だ。

ホンダ クラリティPHEV(598万9500円)
ホンダ クラリティPHEV(598万9500円)

●三菱 アウトランダーPHEV(436万4800~529万4300円)

 駆動用バッテリーの容量は13.8kWh。V2Hの場合、駆動用バッテリーのみを使うと約1日分、エンジン併用の場合だと約10日分の電力供給が可能となっている。

三菱 アウトランダーPHEV(436万4800~529万4300円)
三菱 アウトランダーPHEV(436万4800~529万4300円)

●三菱 エクリプスクロスPHEV(384万8900~447万7000円)

 駆動用バッテリー容量など給電に関する部分はアウトランダーPHEVに準ずる。V2Hの場合、駆動用バッテリーのみで約1日分、エンジン併用だと約10日分の電力供給が可能。

三菱 エクリプスクロスPHEV(384万8900~447万7000円)
三菱 エクリプスクロスPHEV(384万8900~447万7000円)

●その他 主な1500Wコンセントを持つクルマたち
・トヨタ ヤリスHV(メーカーOP)
・トヨタ カローラ系3モデルHV(メーカーOP)
・トヨタ シエンタHV(メーカーOP)
・トヨタ アルファード/ヴェルファイアHV
・トヨア ノアHV(G、X 。メーカーOP)
・トヨタ クラウンHV(メーカーOP)
・トヨタ カムリ(X以外にメーカーOP)
・トヨタ プリウス
・トヨタ MIRAI
・トヨタ ヤリスクロスHV(メーカーOP)
・トヨタ C-HR HV(メーカーOP)
・トヨタ ハリアーHV(メーカーOP)
・トヨタ RAV4 HV(メーカーOP)
・レクサス LS HV(メーカーOP)
・レクサス CT(メーカーOP)
・レクサス RX450h系(メーカーOP)
・レクサス NX300h
・ホンダ ステップワゴンe:HEV SPADA G EX ホンダセンシング(メーカーOP)
・ホンダ オデッセイe:HEVアブソルートEX

※電力供給可能日数は4人家族の一軒家で、1日の使用量を10kwhから12kwhとして計算

(車両解説/永田恵一)


次ページは : 【番外コラム】トラックドライバー 長野潤一 あの震災の衝撃

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

あのトヨタスターレットが再び公道に舞い降りる!? 日産×ホンダ協業分析など新社会人も楽しめるゾ「ベストカー5月10日号」

あのトヨタスターレットが再び公道に舞い降りる!? 日産×ホンダ協業分析など新社会人も楽しめるゾ「ベストカー5月10日号」

トヨタの韋駄天が覚醒する! 6代目NEWスターレットのSCOOP情報をはじめ、BC的らしく高級車を大解剖。さらに日産・ホンダの協業分析、そして日向坂46の富田鈴花さんがベストカーに登場! 新社会人もベテランビジネスマンまで、誰もが楽しめるベストカー5月10日号、好評発売中!