パワーに対する憧れはいつの時代にもある。マスプロダクションモデルによって世界トップクラスの自動車生産国となった我が日本でも、高度成長期以降には、技術の進歩と市場の成熟によって、実用一辺倒ではない自動車を求める声が増えてきた。
そんな期待に応えるかたちで、各メーカーから次々に高出力を謳うモデルが登場した。
本企画で紹介するのは、国産車の最高出力を振り返るうえで重要な役割を果たしたモデルたちだ。
基本的に馬力競争はスポーティモデルを中心に繰り広げられてきたものの、1980年代に突入すると、ラグジュアリーモデルにも200ps超のマシンが誕生。重めの車体を大馬力で引っ張るという傾向もみられるようになった。
そして見逃せないのが、ターボチャージャーの装着による出力向上だ。日本国内では、主にショップによるチューンナップ用アイテムとして採用されていたターボを標準装備する国産車が次々に現われ、馬力競争はさらにヒートアップ。
現代では300psと聞いても驚くことはなくなってしまったが、稀代の名車と言われたクルマたちは、120馬力くらいでも充分歴史を変えてきた。この足跡があってこその、現代の300ps常識時代だということを、忘れずにいたい。
1980年代は、国産車の馬力が一気に引き上げられた時代として、後々まで語られていくことになるだろう。
※本稿は2021年4月のものです。1985年までの国産車の馬力はグロス表記で、グロスは15~20%数値が大きくなります
文/長谷川 敦、ベストカー編集部 写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』 2021年5月10日号
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■1960年代
●トヨタ 2000GT(1967年)150ps/6600rpm
・パワー競争の口火を切った伝説のクルマ……トヨタから発売された高性能グランツーリスモ。ヤマハ発動機の協力を得て開発した2Lの直列6気筒DOHCエンジンを搭載し、220km/hの最高速度を誇った。
●日産 フェアレディZ(1969年)130ps/6000rpm
・当時最大級のパワーユニットを搭載!……今さら説明する必要がないほどメジャーな国産スポーツカーの雄。初代モデルのS30型に搭載された2LのL20型エンジンは、オーソドックスなSOHCながら130psの出力を誇った。
●日産 スカイライン2000GT-R(1969年)160ps/7000rpm
・レーシングエンジンの血統……スカイラインシリーズ初のGT-Rバージョン。エンジンはそれ以前のレーシングプロトタイプカー用をベースにしたS20型で、1989ccの直6エンジンが160psを叩き出した。
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