スカイライン生産中止説にもの申す!「名ばかりのスカイラインに乗りたくない」


■取り扱いの難しい「GT-R」という劇薬

1999年1月に発売されたR34型GT-R。2002年8月に排ガス規制不適合のため生産終了。中古車市場では現在、約1280万円~約3580万円と高騰中

 スカイラインはR34で終わった。

 これが最も心の広いスカイラインファンの一般的な認識だろう。事実、販売台数はGT-Rを含めてもR33の3分の1、最も売れたケンメリのついに10分の1にまで落ち込んだ。どうしてか。時代がセダンを求めずミニバン全盛に向かおうとしていた、というのはあくまでも外的な要因だ。

 とあるクルマのレゾンデトルはマーケットが決めるもの(例えばミニバンブーム)であると同時に、プロダクト自体が主張すべき(例えばGT-Rを復活させる)ものでもある。そのバランスはブランドやカテゴリーによって変わるが、その取り方を間違うと命取りになる。

 R32以降のスカイラインは結果から判断するに間違った。R32で車体を小さくしGT-Rを復活させたまでは良かった。英断だ。

 けれどもそのあまりに突出した名車BNR32の誕生は、シリーズ販売台数の凋落に歯止めをかけるほどに強い特効薬であった一方で、甚大な副反応をもたらした。劇薬だったのだ。GT-Rばかりに注目が集まってしまうという、それは以前にはない“病”でもあった。

 熱心なユーザーばかりがその病に侵されているうちはまだいい。あまりに日本車離れした高いパフォーマンスで市井の走り屋たちを魅了したのみならず、レースでも大活躍した結果、スタンダードシリーズの開発もまたその改造版であるGT-Rを意識したものにならざるを得なかった。ここに最大の問題があったのではないだろうか。

R34スカイライン25GT-TクーペはR33GT-Rを上回るボディ剛性と自主規制いっぱいのエンジン出力と、侮れない性能を有する

 本来ベースモデルあってこそのGT-Rだ。その開発と販売後の成功のためには100%、GT-Rの存在を忘れた方が良かった。もちろん、そんなことは当時の開発陣も分かっていたはずで、実際、そのように進んだこともあっただろう。4ドアを諦めなかったことなどはその際たる例だ。さらに後、スカイラインと名乗らないGT-Rが誕生した理由もまた、その裏返しだと思う。

 けれども100%のエネルギーを標準モデルの開発に注ぎ込めていたのだろうか。少なくとも出来上がった標準モデルからは、特にR34ではスタンダードモデルの魅力をあまり感じることができなかった。

 デビュー当初からGT-R頼みであることはスタイリングからしても明らか。もっともR33のコンセプトが全くウケなかったことへの反作用だったのかもしれないけれど。

 R32から34までのスカイラインは、雪のない山でGT-Rというコアだけを転がしたようなものだった。それじゃ立派な雪だるまなどできるはずがない。

2007年10月に正式発表され、12月に販売を開始したR35型GT-R。それまでのGT-Rと違うのは、専用開発のスーパースポーツモデルという点。ボディパネルもメカニズムもスカイラインと共通するパーツはない。だからなのかスカイラインの名を外し、「GT-R」と命名された

■国産専用GTセダンの定め

1999年10月の東京モーターショーで発表されたXVLが11代目V35型スカイラインとして2001年6月に登場。後の日産車のFRに採用されるFR-Lプラットフォーム、フロントミドシップパッケージを採用。開発責任者は水野和敏氏
2006年11月に登場した12代目V36型スカイライン。先代V35時代からインフィニティブランド(G35/G37)として北米で販売され高い評価を受けている。クーペはかなりの俊足ぶりを見せる

 続くモデルと続かないモデルがある。ミッドサイズのセダンということで言えば、日本ではまずミニバンに、今や世界的にはSUVに、ファミリーカーの第一選択肢の座を奪われた。環境の変化だ。

 それでも売れるセダンは現にある。日本のマーケットでは歴史ある国産セダンこそスカイラインと同じ運命を辿ったが、例えばドイツブランドのセダン、BMW3シリーズやメルセデスベンツCクラスなどは未だ堅実に売れている。

 もちろん日本での販売台数規模で言えばV35時代のスカイライン(1万台/年)にも及ばないが、グローバルマーケットを考えればSUV全盛の今でも開発を続けるだけの意味がある台数を毎年、送り出している。マーケットを絶えず注視しつつもコンセプトは決して大きくぶれず、プロダクトに個性をアピールする力があるからだ。

 スカイラインも一度はその考え方で蘇ろうとした。本来、スカイラインでもましてやローレルでもなかった次世代グローバル市場向けのミッドサイズ高級サルーンをスカイラインとして国内販売することになったのだ。

 本来は終わっていたスカイライン。急転直下、スカイラインとして開発されていないクルマがスカイラインとしてデビューすることになった。スカイラインファンにとっては、なかなか判断の難しい状況だったと覚えている。

 名前が残ったことを喜ぶべきか、スカイラインじゃないと叫ぶべきか。

 V35そのものは決して悪いクルマではなかった。筆者も2ドアクーペのスタイルを好んで乗った。けれどもそれはもはやスカイラインではなかった。

R34まで直6エンジンだったが、V35からはV6のみとなった。開発時点はスカイラインではなかったという

 メーカーがそうだと言うからスカイラインであるというに過ぎなかった。そこが今なおセダンを作り続けるドイツブランドとの大きな差だ。V35以降のモデルもひょっとするとスカイラインという名前じゃない方が上手くいったのかもしれない。

 それが証拠にインフィニティブランドによるグローバル戦略、主に北米市場に支えられて、スカイラインの元となるモデルはV36、V37ともう二世代続くことになった。

 国内に目を向ければV36時代に設定されたスカイラインクロスオーバーなどは時代の先駆けともいえるネーミングコンセプトだっただろう。

インフィニティブランドのEX37(現QX50)を日本国内向けとしたスカイラインクロスオーバーが2009年4月に登場

 そんなこんなで後継モデルの開発中止という報道を受けて飛び出した「スカイラインをあきらめない」というコメントもまた、素直に歓迎できない自分がいる。

 セダンの時代じゃないとかSUVで復活だとか、そんな次元の話じゃない。クルマとしてのスカイラインはもうとっくの昔に死んでいたと知っているからだ。死んでいたクルマを開発中止と騒ぐ方も、そうではないと言い張る方も、どちらもスカイラインを心から愛したことのない人の論説だというほかない。

 本当のことを言うと、一度スカイラインを諦めていただきたい。

 断絶のあと、昔の名前で復活し成功した例もある。次世代モビリティの世界観において、また往時のスカイラインのような役目のモデルが必要になったとき、改めて考え直してもらえばいい。

「名ばかりのスカイライン」には、正直、もう乗りたくないのだ。

2014年2月に登場した、13代目となるV37型スカイライン。国内ではインフィニティブランドを展開していないのに、何故かインフィニティエンブレムを付けていた。2019年7月のビッグマイナーチェンジで5年8ヵ月ぶりに日産エンブレムに戻される
2019年7月のマイナーチェンジで追加された400Rは、3L V6ツインターボを搭載し、405ps/48.4kgmというスカイライン史上最高スペックを誇る。一定の支持を得ており、比較的若い層にも売れているようだ
スカイラインといえば、ケンメリから採用された丸型四灯のテール。V35時代にいったん廃止されたがマイナーチェンジで復活
V37型現行スカイラインの丸四灯型テールランプ。この丸四灯テールがアイコンにもなっている「スカイライン」は一度断絶させるべき。というのが筆者の主張だ

【画像ギャラリー】プリンス自動車時代から歴史ある、歴代スカイラインをチェック!

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