MINIにも似た手法でNシリーズのイメージ戦略を推し進めたホンダ
N-BOXの場合は、さらにそこから先の展開がありました。例えばアメリカで流行したチョッパールーフを取り入れたN-BOXスラッシュは、インテリアにもテーマ性を持たせて世界観を演出したり、さらに道具として割り切ったN-VANでは、車中泊しやすいようなアイテムを盛り込んだり。
残念ながらN-BOXスラッシュは、現在のラインアップからはなくなっちゃいましたがユニークな存在でした。
はたまた、もう少し全高抑えスイングドアを採用したN-WGNや、往年のN360を彷彿とさせるデザインと、ワイメイクレースまでシリーズ戦で開催し、モータースポーツに通じるまでの運動性能の高さをアピールしたN-ONEまでありますからね。
でですね、このおかげで例えばN-ONEと同じ「N」という名前がついているんだから、N-BOXだってきっと走りがイイはずだ! というイメージ戦略にもなっていくわけなのです。
N360を見て心ときめかせた大人たちが「Nコロはよく走るクルマだったから、きっとこれもそうに違いない」と、夢を抱くんですよ。つまり、上手にブランド作りに成功したのだと思うのです。
この軽自動車はすべて「N」シリーズというアピール手法、世界中で大ヒットし、いまだに人気の高いMINIと似てますよね。
小さいのから大きいのまですべてMINIとして、共通世界観を印象づけていて、最初のうちは「こんなに大きいのMINIじゃない!」なんて言っていた人たちまで巻き込んで、日本市場ではいまいちばん売れてるのがMINIクロスオーバーだったりしますからね。ブランド作り大成功というわけです。
そうして大ヒットを遂げたNシリーズですが、そのおかげで、軽自動車を生活必需品アイテムから、生活を彩り楽しむアイテムへと昇華させたという功績は、軽自動車界全体においても大きな好影響をもたらしたと思います。
そう、軽自動車ってとっても興味深く、面白いカテゴリー。日本の宝だと思います。