なぜ不足する? クルマに使われる半導体
エンジンに燃料を送るのはキャブレター、エンジン点火はコイルとデスビが担っていた時代、クルマで半導体が使用される機器は、ごくわずかだった。
しかし現代では、エンジンへの燃料供給や点火時期コントロールは、全てコンピュータがおこなう。そしてカーナビ、ETCなど電装品のほとんどが、半導体のお世話になっているというわけだ。最新の予防安全デバイスには、スマホやパソコンと同様に、最新の半導体が使用されている。
しかし、最新の予防安全技術を除けば、クルマに使われる半導体は、旧世代のモノで事足りる。旧式の半導体は、安く手に入るので、コストカットにもつながりやすい。
ここに半導体不足を生む、原因の一端があるのだ。半導体を製造するメーカーからすれば、安く買われる旧式の半導体よりも、最新式の高価な半導体を多く作ったほうが利益になる。利益が少ない自動車用半導体を作ることが後回しになり、供給量が減っている側面もあるのだろう。
流行りのディスプレイオーディオが原因? さらに伸びる新車の納期
トヨタで深刻なのは、販売店オプションを起因とした納期遅延だ。ディスプレイオーディオに、販売店で装着する「ナビキット」が不足している。
ディーラーオプションの取り付けができず、納車が遅れるという状況が、日に日に酷くなっているのだ。販売店の新車プールには、納車待ち(ナビキット待ち)のクルマが多く並ぶ。
現時点で、ナビキット不足の影響を受けている車種は、ランドクルーザー、アクア、プリウス、プリウスPHV、ヤリス、ヤリスクロス、GRヤリス、RAV4、RAV4 PHV、ハリアー、カローラ(ツーリング・スポーツ含む)、カムリ、C-HR、アルファード、ヴェルファイア、グランエースと合計18車種だ。これらの車種では、工場出荷目途よりも、さらに納期が延びる可能性が高い。
ナビキット不足は新車工場出荷目途の長期化よりも、早急に解決するべき問題であろう。販売店の新車プールにも限界がある。メーカーからの配車は予定通りで、販売店からユーザーへの納車だけができない状態では、販売店が体力切れになる日も近い。
筆者の経験上、部品不足(半導体不足)での納期遅延は、供給量が増えた途端に、一気に改善する見込みがある。対して、人気集中による長い納期は、収束するまで時間がかかることが多い。
今の新車には、様々な種類のオプションが準備され、ほぼフルオーダーメイドに近い形で生産が進む。注文から完成までの時間は、年々長くなっている印象だ。ユーザーの皆さんには、長い納期を見越した新車購入活動をおこなってほしい。
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