■転売ヤーに先んじる方法はあるのか?
では、今後たとえばシビックタイプRリミテッドエディションのような「魅力的だが希少な限定車」が発売される際に、我々一般的な自動車愛好家が転売ヤーに先んじて、それを確実に確保する手立てはあるのだろうか?
……結論から申し上げると「なかなか難しい」ということになる。
前述したシビックタイプRリミテッドエディションの場合、全200台のうち190台が各地の販社に割り当てられたわけだが、そのディーラー割り当て分をゲットするには、
1:ディーラー内で申し込みのうえ、抽選に勝利する
2:抽選は行わず「顧客を選んで恣意的に差配する」というディーラーの場合は、そのディーラーにとっての「上客」になる
という2つの方法が考えられるわけだが、これがまた実質的にはかなり難しいのだ。
1の抽選方式の場合は、そもそも「倍率」が死ぬほど高く、当たる可能性は宝くじ並み……とまではいかずとも、かなり低い。また抽選それ自体が公正に行われているという保証もない(抽選という名の忖度が行われている可能性も大というか、たぶん行われているのだろう)。
もしもあなたがその販売店にとっての超上客であるならば、つまり2の条件に当てはまるならば、正式な申し込み期日の前に、かなり優位な順番で仮申し込みをさせてもらえたり、「抽選という名の忖度」の恩恵を受けられる可能性はある。
だが問題は「これから上客になるには時間もお金もかなりかかる」ということと、「仮に上客になれたとしても、そのディーラーにとっての上客は他にもたくさんいる」ということだ。すなわち、すでにかなり太いパイプをディーラーと通じさせている人以外にとっては、上記「2」も現実的ではない……ということである。
ならば転売ヤーはどうやって希少限定車を手に入れているかといえば、主には「動員方式」を用いている。
希少限定車の商談権が抽選となる場合、1人の人間が何口も応募することはできない。その条件は転売ヤーにとっても同じである。
しかし新車の転売ヤーというのは中古車販売店などの「企業」である場合が多いため、社長命令などで数人あるいは数十人の従業員を抽選に参加させることで、1人の個人が抽選に臨むよりは数倍から数十倍高い「当選確率」を確保しているのだ。
ちなみにそういった「総動員態勢」で抽選に臨み、仮に2台分が当選したならば、転売ヤーはそのままその2台を購入するだろう。
だが、もしも超極端な話として20台分の枠が当選してしまったら、転売ヤーの資金力にもよるが、せっかく獲得した枠の大半をキャンセルすることになる。
これが、希少限定車が秒で完売したはずなのに、なぜか「2次抽選」や「3次抽選」が行われることもあるメカニズムだ(もちろん、普通の当選者がさまざまな事情によりキャンセルすることもあるわけだが)。
……本来であれば「こうすれば転売ヤーに先んじて人気限定車をゲットできますよ!」という方法をお伝えしたいところだが、現実は厳しく、そんな方法は(ほぼ)ない。まぁそうであるからこそ、転売ヤーという仕事はけっこう儲かるのだが……。
とはいえ、確実ではないし見込みも薄いが、一応、確率がゼロではない手法としては「そのディーラーでまずは1台か2台の新車を買い、ディーラーにとっての『一応のお得意様』になっておくことだろう。
そうすれば、正規の先行予約スタート前に担当セールスがさまざまな情報を教えてくれ、関係性と運次第では「いち早く申し込める」という可能性はある。まぁ1台か2台買った程度で、どのぐらいの順位に置いてくれるかはわからないが……。
ただしこの手法は、「シビックタイプRリミテッドエディション(200台限定)」やスバルWRX STIの「S208 NBR CHALLENGE PACKAGE(350台限定)」などの超希少限定車ではない「普通のニューモデル」にいち早く乗りたい場合には、もちろん普通に有効である。
筆者の場合は近所の某ディーラーで同じ車種を都合2台買ったせいか、まだ正式には発表されていない仕様の新車に買い替えないか? みたいな話が担当セールスから来ている。
もしも「うむ、買いますよ!」と返事をすれば、そこそこ早いタイミングで車両が納車されることになるだろう。
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