今、日本のヒストリックカーの値段が狂気とも思えるほど、高騰しているが、ポルシェ911はどうなのだろうか?
そこで、空冷時代の911、タイプ964、タイプ993型、そして水冷に変わった涙目のタイプ996、先々代のタイプ997、先代のタイプ991の中古車価格を調べ、各モデルのベスト3を選んでみた。
これを機に、人生初のポルシェ911を手に入れてみませんか?
文/谷津正行
写真/ポルシェAG
■空冷911は10年前の3倍にまでなぜ暴騰したのか?
クルマに限らず中古品の世界は「新しめのもの=高い」「古めのもの=安い」となるのが一般的です。しかしそういった一般論がまるで当てはまらないケースもたまにあるのが、中古品マーケットの面白いところです。
例えばポルシェ911。エンジンが空冷から水冷に刷新された頃の年式、つまり「相対的に新しい911」は100万円台後半から探すことも可能です。
しかし古めのもの、すなわち往年の空冷エンジンを搭載する911は今、ごく普通のカレラでもMT車は700万円から900万円ぐらいが相場。ターボやRSなどの希少モデルでは1500万円、2000万円が当たり前で、超希少モデルだと1億円級だったりもします。
古い空冷世代の相場が水冷世代よりも高くなってしまった主な理由は、「欧州バイヤー勢が日本市場の空冷911を買い漁ったから」です。
10年ぐらい前は、程度良好な空冷911(タイプ964カレラ2)であっても300万円台で買えるのが普通でした。で、日本人は一般的に車を大切に扱う傾向が強いため、その「300万円台の964」は、欧州勢から見ると非常に魅力的でした。自分で乗るにしても転売するにしても、とにかく割安だったんですね。
そういった市場の歪みに目を付けた欧州勢が2012年頃、札束を持って日本に押し寄せ、良質な空冷911を買い漁りはじめました。この攻勢をきっかけに、ニッポンの空冷911は「相場高騰→流通量減少(希少価値の増大)→さらに相場高騰」というサイクルに入ってしまったのです。
そんな空冷911相場の高騰っぷりは昨今、実は少々の落ち着きを見せています。とはいえこのサイクルが終わったと判断するのは間違いです。長い目で見れば、良質な個体の相場はまだまだ上がるでしょう。なぜならば(かなりざっくり言うと)良質な空冷911には「希少価値」があるからです。
以上を踏まえ、まずは「空冷911のベスト年式&グレード」について考えてみます。現時点(2019年3月末)での空冷ポルシェ主要モデルの中古車相場はおおむね下記のとおりです。
【タイプ964(1989~1993年)】
●カレラ2(MT):700万~900万円
●カレラ2 ティプトロニック:450万~850万円
【タイプ993(1994~1998年)】
●カレラ(6MT):900万~1000万円
●カレラ ティプトロニックS:500万~850万円
●カレラS ティプトロニックS:850万~1250万円
●カレラ4S (6MT):800万~1200万円
金に糸目を付けないのであれば車両価格900万円とか1200万円とかの、いずれかのグレードのMT車を買うに越したことはありません。
しかし1000万円級のクルマというのはそう簡単に買えるものではありません。もちろん人それぞれではありますが、「出せて500万円台か600万円台」というのが一般的な金銭感覚ではないでしょうか。
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