■ヤリスと主要諸元を比較!
最後にヤリスハイブリッドと主要諸元(スペック)表を比較。全幅やエンジン、サスペンションは同じ。
2台の間で悩む買い手としては、アクアのほうが50mm長い全長や2.2km/Lの燃費の差(ヤリスに軍配)、取り回しという意味での最小回転半径(アクア5.2m、ヤリス4.8m)、後席の広さ、そして同グレードにおける10万円というの価格差をどう考えるかが購入の決め手となりそうだ。
●アクアG
・WLTCモード燃費:33.6km/L
・全長:4050mm
・全幅:1695mm
・全高:1485mm
・ホイールベース:2600mm
・車両重量:1130kg
・最小回転半径:5.2m
・エンジン:直列3気筒DOHC、1490cc
・最高出力:91ps/5500rpm
・最大トルク:12.2kgm/3800-4800rpm
・モーター出力/トルク:80ps/14.4kgm
・サスペンション:ストラット/トーションビーム
・タイヤサイズ:185/65R15
・価格:223万円
●ヤリスハイブリッドG
・WLTCモード燃費:35.8km/L
・全長:3940mm
・全幅:1695mm
・全高:1500mm
・ホイールベース:2550mm
・車両重量:1060kg
・最小回転半径:4.8m
・エンジン:直列3気筒DOHC、1490cc
・最高出力:91ps/5500rpm
・最大トルク:12.2kgm/3800-4800rpm
・モーター出力/トルク:80ps/14.4kgm
・サスペンション:ストラット/トーションビーム
・タイヤサイズ:175/70R14
・価格:213万円
■ヤリスとの最大の違いは「高級感」
新型アクアは月販目標9800台と超強気。このカテゴリーには各社強力なモデルを用意しており(ノート、フィット、スイフト、そして同門ヤリス)、激戦市場ではあるが、トヨタには(もちろん先代アクアの巨大な既納ユーザー市場があるという理由が大きいが)「月販約1万台は売れる」という自信があるようだ。
その自信の根拠はどこか。正式発表発売は2021年7月21日だったが、編集部ではそれに先立ち、新型アクアのチーフエンジニアであるトヨタ自動車の鈴木啓友氏から広報レクチャーを受けたので、その取材内容を整理してお伝えいたします。
──新型アクアの「ウリ」はどのようなところか?
従来型の電池と比較してコンパクトで高出力な性能を持つ新開発の「バイポーラ型ニッケル水素電池」を搭載していることです。また、災害時など、万が一の際に役立つ給電機能を全車に標準搭載していることです(これまでのヤリスやカローラスポーツはすべてオプション設定)。コンセントが実装されているので、もし停電してもスマホの充電などが可能となります。
──新型は「B」グレードだけ従来のニッケル水素電池となるがその理由は?
新型のバイポーラ型電池の利点は、従来型に比べて一気に出力を出せるところにある。多くのシーンで優れたパフォーマンスを発揮できるが、ややコストが高い。いっぽうアクアにはビジネスユースもある。「B」グレードを選ぶユーザーの皆さんにはビジネスユースが多く、パフォーマンスよりもコストダウンを求める声が多い。そうしたニーズに答えるかたちとなりました。
──ヤリスとの位置づけの違いは?
新型アクアとヤリスは、サイズはほぼ同じで、カテゴリーが近いのは確か。ただこのカテゴリーは需要が大きく、トヨタはそこに2車種用意したということです。
そのうえで、ヤリスはやはり操る楽しさ、操作性、走るよろこびを追求したモデルといえるでしょう。いっぽうアクアのユーザーは、より大きく高級なモデルからのダウンサイザーが多い。そのぶん同クラスと比べて「上質さ」や「洗練された雰囲気」を求めるユーザーが多いと思っており、そうした需要に答えるモデルだと考えています。
──今回新型アクアが採用した「快感ペダル」とは、先行する某ライバルの「ワンペダル」を意識したものか?
もちろん競合車はすべて研究しました。日産さんのノートe-POWERのワンペダルはすばらしい性能。それに負けないものを作りました。操作性や同乗者へのフィーリングはかなり研究して、開発資源を投入し、よいものができたと考えています。日産さんとの(性能的な分かりやすい)違いは、アクアの場合は(アクセルオフだけでは)完全停止まではしません。
●将来の商品計画については…?
──新型のバイポーラ型電池はこれから他のハイブリッド車にも展開するか?
将来の商品計画についてはお話できないが、優れたものであるならもちろん他製品に展開していきます。ただ、どのモデルにどういった電池を搭載するかは、そのモデルの性格やサイズ、市場によって変わるので、いちがいには言えません。
──2021年7月19日に発表発売するのは日本のみか? アクアは国内専用車と考えてよいか?
2021年7月19日に発売するのは日本だけです。将来の商品計画についてはお話できませんが、海外での発売は当面予定していません。
──先ほど「ヤリスは走る楽しさ、アクアは上質感」と言ったが、どちらもTNGA-Bプラットフォーム、どちらもトーションビーム。走行フィーリングにそれほど違いは出ないのでは?
デビューして販売店に試乗車が用意されたら、ぜひ乗り比べてほしいです。先ほど申し上げたように、バッテリーの性格の違い、一気にたくさん出力できることで、走行の質は大きく違います。具体的に言うと、アクアはEV走行領域が広い。40km/hくらいまでEVのみで走る。またアブソーバーの味付けも大きく違う。アブソーバーに使っている部品はレクサスで使うような部品を使っています。
──客室を広げたことで先代より荷室が狭くなっているのでは?
比べてもらえばわかりますが、狭くなっているということはありません。ホイールベースを50mm伸ばしてバンパーを縮めた関係で、客室も荷室も広くなっています。
──どんなクルマを目指して作ったか?
ひと言でいえば「国民に愛されるクルマを作りたかった」。このあたりのサイズは、カッコよくしようとしたり、使い勝手を向上させようとすると、どうしてもボディを大きくしたくなる。そこをこらえて、決められたサイズ、日本の道で使いやすいサイズのなかで出来ることを全力でやった。だからこそこのデザイン、このパッケージングになっている。ぜひ実際に乗ってみて、そのことを感じてほしいです。
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