北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。
第40回は、北海道の背骨・大雪山系への登山口として有名な層雲峡周辺の絶景をお届けします。
今は温泉地として有名なこの景勝の地は、100年前に訪れた詩人によって層雲峡と命名されました。
交通網が整備され、100年前よりずいぶん便利になりましたが、層雲峡周辺には、当時と変わらない雄大な大自然が広がっています。
写真・文/佐藤圭
【画像ギャラリー】桂月岳よりの絶景——ご来光、大雲海、満天の星
温泉街からロープウェイ&リフトで7合目まで
命名されてから今年で百周年を迎える、上川町の温泉街・層雲峡を紹介します。
層雲峡の名は、100年前に、明治・大正期の詩人・歌人で随筆家の大町桂月によって付けられました。
層雲峡は、大雪山国立公園の麓に位置し、大きな温泉旅館・ホテルが立ち並ぶ、北海道有数の規模を誇る温泉地です。
この一帯は、約3万年前の火山活動でできた山が石狩川によって浸食されてできた渓谷です。柱状節理の美しい断崖絶壁や落差約100mの流星・銀河の滝といった絶景スポットを間近で眺めることができるなど、温泉以外にも魅力は多く、道内では人気の観光地になっています。
コロナ禍の前はインバウンド人気も高く、多くの外国人が訪れていました。
また、温泉街のすぐそばに、温泉街と黒岳五合目を結ぶ黒岳ロープウェイの乗り口があって、夏には大雪山系を目指す登山者、冬には大雪山黒岳スキー場でパウダースノーを楽しむスキー客でにぎわいます。
大雪山系の他の山への登山口、赤岳への登山口の銀泉台、緑岳・白雲岳への登山口の大雪高原温泉へも、こちらからアクセスするのが便利です。
銀泉台、大雪高原温泉は紅葉の名所としても有名ですが、これからの紅葉の時期は登山口に至る道でマイカー規制が行われるため、期間限定で層雲峡から大雪レイクサイトを経てシャトルバスが運行しています。
層雲峡の名付け親、大町桂月の名前が冠された山・桂月岳が黒岳の隣にあります。
黒岳石室という避難小屋(素泊まりできます)から15分ほどで登れるため、宿泊した人たちがご来光を見る絶景スポットして有名です。
100年前に北海道各地を旅して紀行文で紹介した桂月さんは、草鞋をはいて大雪山系を縦走したそうです。登山道は存在しない時代ですから、相当過酷だったはずです。
美文家だっただけではなく、人並みはずれてタフな方だったんでしょうね。
桂月さんの功績もあり、黒岳ロープウェイが建ち、温泉街も発展したのだと思います。
登山をしない方も、黒岳ロープウェイとリフトを乗り継ぎ、黒岳7合目まで上ることができます。
絶景の大雪山を気軽に楽しむことができますので、コロナ禍が収まったら、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?
佐藤 圭 kei satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。MILLETアドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
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