■ブガッティを吸収したリーマックって何よ?
BCでも最近、1914hpを誇る怪物EV「ネヴェーラ」の試乗をお届けしたばかりだが、このクルマを作ったクロアチアの新興EVメーカー「リーマック」が大躍進を遂げた。110年もの歴史を有するあの名門、ブガッティを傘下に収めたのである。
詳しく説明すると、まずリーマックがフォルクスワーゲン・グループの一員となり、グループ内企業であるポルシェと組んで「ブガッティ・リーマック」という合弁会社を作る。
会社のトップにはリーマック創業者であるメイト・リーマック氏が就き、ブガッティはそこへぶら下がる形になるという。創業わずか12年という新興企業がハイエンドスポーツカーブランドを飲み込むとは、すごい話だ。
この合併劇だが、もちろん脱内燃機関の動きが背景にあることは言うまでもない。しかしスーパーカーやハイパーカーを電動化するとなると、ブランド力に見合った付加価値の創出が難しく、ブガッティを所有するフォルクスワーゲン・グループも相当頭を悩ませたに違いない。
その結果、すでに電動スーパーカーの分野で圧倒的なパフォーマンスを実現し、「神話」の創生に成功しているリーマックに白羽の矢が立ったのだろう。強力なパートナーの力を得て、新生ブガッティの将来も明るいに違いない。
■合成燃料をAIで開発。エネオスの偉大な挑戦
オリンピックの聖火や大会用車両に水素を提供するなど、日本での水素普及に力を注ぐエネオスだが、どっこい内燃機関もあきらめてはいない。7月中旬に日本経済新聞が「エネオスが仮想空間での高速解析を通じて新燃料を開発する」と報じている。
石油の主成分は炭素と水素の加工物である炭化水素。だから石油の代わりになる合成燃料も、CO2と水素を触媒反応させることで作れる。
問題は、その触媒反応によってメタンや重質油といった不要な物質までができてしまうことで、この「不要物質を極力生み出さない触媒」を見つけることこそが、合成燃料を作るうえでの長年の課題となってきた。エネオスはこの触媒の発見にAIを使い、探索時間の大幅な短縮を狙おうというのだ。
そもそも、なぜ天然の石油はダメで合成燃料が求められるのか? それは燃焼時のCO2排出がカーボンニュートラルになるからだ。合成燃料に使われるCO2は、工場などが排出したCO2を再利用する。このCO2に再生エネルギーで作った水素を組み合わせれば、燃焼時にCO2を排出しても、製造時の取り込みと相殺されるため、CO2が差し引きゼロになるわけだ。
合成燃料については、ボッシュやポルシェなども開発を急いでいると聞くが、内燃機関をあきらめないエネオスの姿勢を応援したい。
■そのほかの最新技術系の話題を20秒でチェック
●JALの空飛ぶクルマ2025年に事業開始…2023年にも商用化が始まるという「空飛ぶクルマ」だが、日本航空が2025年に事業を始めるようだ。まずは20㎞程度の短距離輸送からスタートし、地方都市を結ぶ中距離輸送に拡大、最終的には空港と観光地を結ぶタクシーのような使い方を目指しているという。
使われるのはJALも出資している独ボロコプター社の電動垂直離着陸機。二人の乗客が乗れて時速110㎞で飛行でき、最大航続距離は35㎞とのこと。近く三重県で実証実験も始めるという。新しい乗り物登場まであと4年だ!
●ホンダ&楽天、無人配送ロボットの実証実験を開始…無人配送ロボットの開発が各地で進んでいるが、われらがホンダも楽天と組んで実証実験を始めると発表した。
無人配送ロボットとは、ルートを学習して荷物を届けてくれる超小型の自動運転車両だが、ホンダはその電源に、電動バイクで使っているモバイルパワーパックを用いる。これならバッテリーを簡単に載せ替えられるからロボットの充電待ちを回避でき、効率のいい運用が可能になるわけだ。トコトコと町を走る姿を早く見てみたい。
■日本電産とホンハイ、合弁会社設立の狙いは?…急成長を続けるモーターメーカーの日本電産が、台湾ホンハイと合弁会社設立で検討に入ったと発表した。当欄でも既報のとおり、ホンハイはMIHというEVプラットフォームを無償で公開し、アンドロイドスマホのようなビジネスをEVで実現しようと狙っている。そのモーターの受注に成功すれば、日本電産は圧倒的なシェアを握ることになる。勝算はいかに?
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