本誌『ベストカー』にて、毎号技術系の最新情報や気になる話題をお届けしている「近未来新聞」。
今回は電動化や自動運転の競争が激化する物流業界における、トヨタの戦略&狙い、クロアチアの新興スーパーカーメーカーであるリーマック、エネオスの合成燃料に向けた取り組みなどをお届け!
※本稿は2021年8月のものです。
文/ベストカー編集部 写真/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2021年9月10日号『近未来新聞』より
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■日野といすゞの提携に軽メーカーがなぜ参入
バスやトラックの分野でも電動化や自動運転の競争が激しいが、これに危機感を抱いたトヨタが、今年3月、いすゞと日野に声をかけて「CJPT(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)」という団体を設立した。
このCJPT、いすゞと日野が持つ商用車技術に、トヨタのCASE(通信・自動運転・シェア・電動化)技術を融合した次世代の商用車を作るための開発基盤なのだが、7月21日、そこへスズキとダイハツが加わることが明らかになった。
一見「なんで?」と思われる動きだが、スズキとダイハツの作る軽トラックやバンは、物流のバトンを末端で担う重要な繋ぎ役。それでいて価格がシビアで新技術に膨大なコストもかけられないという事情があり、今回の参画へとつながったようだ。
実際、スズキとダイハツが憂慮する事態は起こっている。それが中国製小型EVのあいつぐ日本参入だ。
たとえば、当欄でもかつて紹介した佐川急便の例。小口配送用向けの軽ワンボックスEVを中国の柳州五菱汽車が製造する(※設計は日本のスタートアップASF)ことが自動車業界に衝撃を与えた。
さらに軽規格ではないが、セントロという中国系アメリカ企業が中国本土で作る多目的商用EVが、この7月「エレモ」として日本デビューを果たした。13kWバッテリーで218万9000円から、26kWで275万円からという価格は充分に競争力があり、すでに脱炭素化を印象付けたい大手企業などからが引き合いがあるという。
スズキとダイハツは今後、こうした中国からやってくる低価格のEVたちと戦うことが避けられない。今回のCJPT参画はその戦いに勝つための重要な一歩というわけだが、ぜひとも有益な成果を生み出してほしいものだ。
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