■LGにファーウェイもEV参入!? 新規プレイヤーが増加中
EV市場への新規参入が加速している。なかでも大きな流れといえるのが、スマホメーカーの転身だ。
当連載では過去にもアップルやフォックスコン、シャオミのEV参入を伝えてきたが、ここへきて韓国のLG電子がスマホから撤退し、EVのコンポーネンツ製造に軸足を移すことが明らかになった。
同社は近くカナダのマグナ・インターナショナルと合弁会社を作り、ドイツのボッシュや日本のデンソーに並ぶ巨大サプライヤーを目指すという。
確かに同社は、世界屈指の電池メーカーであるLGエナジーソリューションを傘下に持つし、GMのEVプロジェクト「アルティウム」にも深く関わっている。動き方次第では、侮れない存在となることは間違いない。
もう1社、恐ろしいのが中国のファーウェイだ。昨今の米中分断の余波を受け、スマホではアンドロイド市場から駆逐された同社だが、そこで培った技術をそっくりEVに持ち込み、市場への浸透を図っている。
ファーウェイは現在、中国のさまざまな自動車メーカーと組み、自動運転やインフォテインメントといった領域をそっくり請け負う戦略をとっている。
同社はこれを「HI(ファーウェイ・インサイド)」と呼んでいるのだが、すでに複数のクルマが試作段階にあるようだ。
ますます混迷を深めるEV産業。はたして勝者は?
■水素価格を3分の1に! エネオスの意欲的挑戦
スーパー耐久の富士24時間レースに水素カーも参戦し、注目が集まる水素。その水素の普及を加速させようとエネオスが動き出した。
プラント建設の千代田化工と組んで水素製造プラントを作り、価格を劇的に下げようというのだ。
そもそも水素の作り方なのだが、現在は石油や天然ガスに含まれる炭化水素を水蒸気と反応させて作る手法が一般的。ところがこれだと水素といっしょにCO2が生成されてしまい、脱炭素に逆行してしまう点が問題だった。
いっぽうエネオスは、トルエンと水を電気分解してMCH(メチルシクロヘキサン)という液体を作る手法に挑む。
MCHは常温輸送ができるため、水素のようにマイナス253度まで冷やさず輸送ができるうえ、消費地で水素を取り出すことも容易。電気分解に再生可能エネルギーの電力を使えば、CO2も排出しないのだ(このためグリーン水素と呼ばれる)。
現在、水素価格は1kgあたり1100円程度だが、エネオスは前述の手法で、330円程度まで引き下げることを狙う。この価格はズバリ、菅内閣が掲げた2030年の水素目標価格でもある。
エネオスは太陽光発電が盛んなオーストラリアに水素製造プラントを作り、MCHを日本に輸入する計画とのこと。こいつは期待できそうだ。
■【番外コラム】20秒ニュース×3
●アップルカーの行方が気になる人も多いだろうが、バッテリーの供給元を巡って、「アップルがCATLおよびBYDと交渉中」とロイター通信が報じた。どちらも頻繁に登場する中国企業で新鮮味はないが、両者が同じ仕様のバッテリーを作るかどうかは不明。筆者は「CATLが大容量ハイグレード品、BYDはスタンダード向け」と勝手に予想するが、はたしてどうか?
●各地で先進的な取り組みを行っているIT系バス事業者「ウィラー」が、月5000円で使い放題という乗り合いサービス「mobi(モビ)」を始めた。 このサービス、コロナ禍で増えた自宅周辺の「チョイノリ移動」を補助しようというもの。専用アプリから呼び出せば、10分以内に車両がやってくるという。今のところ京都の京丹後市、東京の豊島区と渋谷区という限定営業だが、全国展開に期待しよう。
●自動運転の先駆者、グーグル系のウェイモが、自動運転トラックの実験を加速させている。これまでも米アリゾナやテキサス、ニューメキシコといったルートでテストを行ってきたが、今度は全米で最も交通量が多いといわれる州間高速45号線(ヒューストン~フォートワース間)で実験を行う。しかも実際に貨物を積んでの運行だ。運転に使われるのはレベル4の自動運転に対応した「ウェイモドライバー」というシステム。頻繁に渋滞も起きる45号線での自動運転トラックの走りが気になる。
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