CB1100の原点は1999年の「CBフォア」だった
ついにファイナルエディションが発売されるに至ったCB1100だが、原点となったのが「CBフォア(1999年東京モーターショー出品コンセプトモデル)」だということはあまり知られていない。これは、CB750フォアの30周年を記念して出品された復刻コンセプト車で、オリジナルを意識したエンジンや4本出しマフラーを備えていたのだ。
そして8年後の2007年、コンセプト車のCB1100Fが東京モーターショーに出品。CBフォアとは全くスタイルが異なり、CB400フォア風の集合マフラー、前後17インチのキャストホイールなどを採用していた。その約2年半後の2010年2月、市販版のCB1100がリリースされることになった。
CBフォアとCB1100Fは似ても似つかぬ姿だっただけに、この2つのコンセプトモデルに繋がりは全く感じられなかったが、2010年にCB1100Fの市販版としてCB1100が発表された際に、コンセプトの原点としてCBフォアのスケッチが公開されたのだ。そこにはこのように記されている。
・空冷4気筒の機械美を最大限に演出するENG設計(外観)DOHC750㏄(900)バーチカル4気筒はこの車の主役
・シンプルかつ合理的手作り感あふれるダブルクレードルフレームはフレームの王道。フレームとENGの空間の美しさ演出
・深しぼりフランジレスタンクは外観部品の主役。自然で美しいフォルム
・クロノグラフを連想するメーター(スミス風)。針動美の追求
・一世を風靡した殿様ライディングポジション。楽で堂々
・1シリンダー1マフラーの4本マフラー。機能をシンプルに演出
・シートハイト770~780mmで楽に足が着く事
達成していない項目はエンジンのみ。最終的にCB1100はCB1300の水冷エンジンを空冷化することになり、シリンダーは前傾し1140ccと排気量やサイズが大きくなってしまった。4本出しマフラーは、2014年以降EXの2本出しが4本マフラーのサウンドを追求していることからクリア。ほぼ、理想を実現したのだ。
ありがとう! 空冷直4CBヒストリーを振り返る
最後に、ホンダ空冷直4ビッグバイクとCB1100の史を簡単に振り返ってみよう。
ホンダの直4第1号であり、世界初の実質的な直4量産車こそCB750フォア(1969年)。2気筒650ccクラスが最大級だった時代に、衝撃的なデビューを飾り、「ナナハン」という言葉を生み出した。まさにエポックメイキング作だったのである。
当時、カワサキも750cc空冷直4の開発を進行中だったが、CB750フォアが先に発表されたこともあり、計画の変更を余儀なくされた。これが1972年秋の900スーパーフォア=Z1として結実する。
1979年、CB750フォアの改良型でライバルに対抗してきたホンダが放った次世代の直4スーパースポーツがCB900F/750Fだ。ホンダ初のDOHC4バルブ直4モデルで、軽量でバランスの優れた車体や流麗なストリームラインも高評価。
ジュラルミン製セパハンやトリプルディスクブレーキ、チェックバルブ付きのFVQダンパー、コムスターホイールなど、RCBレーサーの技術を注入、またも大ヒットとなる。
CB900Fをベースに、空冷CB-F系の頂点モデルとして開発されたCB1100R(1981年)。市販車レースでの勝利のみを目的に、排気量アップしたエンジンと高剛性フレーム、アルミタンクなど採算度外視の装備が与えられた。値段は当時では驚異的な250万円。
ホンダのフラッグシップは水冷V4に移行し、新作の空冷直4機は長年リリースされなかったが、1992年にCB750が登場。CBシリーズの原点に回帰したようなフォルムを持ち、2008年型まで生産された。教習所での大型2輪教習車としても活躍した。
約18年ぶりに新開発された空冷CBこそ、2010年の初代CB1100。心臓部はCB1300をベースに空冷化しており、バルブタイミングをわざとズラしすことで空冷らしい燃焼感を演出することに成功している。スタイルは、CB750フォアをはじめ、CB400フォアなど様々なCBのエッセンスを取り入れた。
CB1100は、2014年にマイナーチェンジ。シートとシートレールを見直し、足着き性を一層アップ。ミッションを5速→6速としたほか、FIセッティングや吸排気系の見直しで平成24年排ガス規制に対応した。
さらに「CB1100EX」を新設定した。右1本出しのSTDに対し、2本出しマフラーを採用。ワイヤースポークホイールや専用シートなどでトラディショナルなイメージをより強調した。
2017年型では、新設計マフラーやエアクリーナーなどで当時の排ガス規制(平成28年排ガス規制、ユーロ4相当)をクリア。ABSとスリッパークラッチが標準装備された。
新たに足まわりを強化したカフェレーサータイプの「CB1100RS」を追加。RS、EXともに溶接痕が目立たないフランジレスタンクをホンダで初めて採用した。また、EXは各部の造形やメッキを見直し、金属感を高めている。
2017年以降はSTD、EX、RSの3本立てとなり、STDを除いてLEDヘッドライトも採用した。
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