■ベース車にGTC4ルッソを採用
BR20は、50年~60年代のフェラーリにインスパイアされたデザインが特徴だ。往年のFRレイアウトの12気筒モデルの魅力を受け継ぎながらも、今の時代にも通用する美しさと速さを兼ね備えたフェラーリに仕上げられている。
そのスタイリングを具現化するためのベース車には、フロントにV12気筒エンジンを搭載するGTC4ルッソを採用。しかし、大きな問題がある。BR20はファストバッククーペに対して、GTC4ルッソはシューティングブレークとボディ形状が異なるのだ。
■大胆な手法でファストバッククーペに
なんとファストバッククーペ化のために、後席を取り去ってしまい、2シーター化。後席だったスペースはラゲッジスペースに生まれ変わっているのだ。驚くべきは、各部に専用パーツが多く取り入れられていることだ。ヘッドライトにも手を加え、装着位置もより低くすることでロングノーズを強調。
アルミホイールデザインも、専用品を装備するなど、たった1台のためにトコトン拘って作り込まれていることを感じさせる。また専用パーツの多くが、カービンファイバー製となるなど、軽量化にも配慮されている。
■インテリアも専用仕様に
公開された写真は限定的だが、左ハンドル車であり、コクピットまわりの機能や配置は、ベース車のGTC4ルッソに準ずるようだ。
インテリアもシブいコーディネートがされており、ダークブラウンのレザー内装に、特別なパターンのシルバーによるクロスステッチが採用されている。このあたりも往年の高級GTとして富裕層に愛されたフェラーリを彷彿とさせるテイストだ。
また、取り払われた後席部分となるリアデッキとラゲッジスペースは仕切られているが、仕切りは可倒式となっており、ラゲッジスペースを拡大することもできるという。
■気になる性能や価格は!?
価格やスペックは、残念ながら、非公表となる。しかし、1年以上の期間と専用パーツの多さを考量すれば、途方もない価格であることは想像に難くない。まさに選ばれし者のフェラーリなのだ。しかも、単に予算が用意できればいいという訳でなく、フェラーリの所有歴なども重要なファクターとなるようだ。
例えば、先に紹介したクラプトンも長年のフェラーリファンであることで有名だ。今回の顧客に関しての情報はいっさい公開されていないが、フェラーリと長年の付き合いのある人物であることが、リリースには記されていた。
想像を駆り立てられるスペックについてはベース車と同等、それ以上の性能が与えられていることだろう。後席の削除とガラスエリアの多いシューティングブレーク後部を取り去ったことでの軽量化の恩恵は小さくないはずだ。
それにしても、フェラーリ自身も環境対応としてダウンサイズターボやハイブリッドシステムに移行するなかで、生粋の自然吸気V12気筒エンジン搭載車を選んでいる点にも、顧客のこだわりとフェラーリ愛を感じさせるところだ。
今後、BR20が公の舞台に姿を現すかは不明だが、熱心なフェラーリファンであるオーナーとともに幸せな時間を過ごすことだろう。
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