ヤマハが水素エンジン初公開!! 二輪4社が水素の可能性を探る

商用化へのハードルはクルマより高いが、10年以内には明確に?

 もちろんバイク用水素エンジンの開発はハードルが高い。最も頭が痛いのは水素タンクだ。スーパー耐久参戦の水素エンジン車は全容量180Lもの水素タンクを搭載するが、充填1回あたりの航続距離は約60km。バイクは搭載スペースに限りがあり、実現のハードルが高い。

 また、クルマで水素エンジンが成立したとしても、使う回転数の領域やサイズが異なるため、すぐバイクに転用できるわけではないという。
 とはいえ、「燃料が変わってもエンジンの特性は変わらない。水素に関してはわからないことも多いが、今後研究が進めば見えてくる。その中で新しいエキサイティングな商品をつくりたい」と日高社長が展望を見せた。

水素で発電する燃料電池車のスズキ・バーグマンFC。2017年には公道テストも開始していた。水素+電動も選択肢の一つだ。「現在も開発は継続中」とスズキ・伊藤二輪事業本部長
水素で発電する燃料電池車のスズキ・バーグマンFC。2017年には公道テストも開始していた。水素+電動も選択肢の一つだ。「現在も開発は継続中」とスズキ・伊藤二輪事業本部長

 電動、水素、合成燃料など動力源の選択肢がある中で、「一車種のバイクで様々なパワートレインが選べるのか」といった質問も記者から出た。これに関しては車種のキャラクターに応じた最適な技術を選択することなるようだ。

 「どのパワートレインがどの車種に向いているかは、現段階では言えない。ここ数年から10年以内にはそこをハッキリと決める覚悟で開発をやっている」と日高社長が述べ、「代替燃料は供給のインフラが重要。ブラジルはエタノール、日本は水素が先行するかもしれない。インフラと技術的な特性との組み合わせで決まってくる」とカワサキ・伊藤社長が話すように、将来のインフラ整備との兼ね合いも動力源普及の決め手になる。

 したがって、商用化の目標時期に関してもまだ「置いていない」のが現状だ。全てこれからというのが正直なところだが、バイクに関してはクルマより脱炭素化への道筋が不透明だった。今回の会見では、「125cc以下のコミューターは電動、趣味性の高い大型バイクは内燃機関」という一定の道筋が見えたのは収穫だ。豊田社長の言う「仲間」がさらに大きな輪となり、一致団結して高いハードルを越える姿を見守りたい。

【画像ギャラリー】ヤマハ水素エンジン詳細とカワサキの二輪用直噴エンジンを比較

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