ほかのクルマじゃダメなんだ!「孤高のポジションにある日本車たち」


 商品には「こういうものが欲しいなら、文句があってもこれを買うしかない」という替えの効かない、いわゆる「孤高の存在」というものもある。身近な代表例はiPhoneで、筆者はスマホにこだわりはないのでアンドロイドを使っているが、魅力が弱点を勝るためiPhoneを使う人は多い。

 クルマでは5ナンバーサイズかつ広く、リーズナブルなトヨタライズ&ダイハツロッキーはその代表で、ライズ&ロッキーには最近ハイブリッドが加わったことで、ライズ&ロッキー人気はさらに加速しそうだ。

 日本車のラインナップを見ると、ライズ&ロッキー以外にも孤高の存在というのは意外にあり、ここではそんなクルマたちをピックアップしてみた。

文/永田恵一写真/トヨタ、日産、SUBARU、MAZDA、三菱自動車、ベストカー編集部

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GRヤリスは本格的なモータースポーツ参戦ベース車を現実的な価格で提供

●トヨタGRヤリス

WRCで勝つために生まれたGRヤリス。ヤリスの顔を持つがそれ以外はまったく別物のクルマだ。生産も一台ずつエキスパートの手が入りながら組み立てられており、すべての車両がベストな状態で世に出される

 かつてのWRCのトップカテゴリーとなるグループA参戦車は、ベースとなる市販車の5000台生産が条件となるホモロゲーション(認証)の取得が必要だった。そういったクルマは海外にはランチアデルタとフォードエスコートコスワースRSくらいしかなく、このことは当時インプレッサWRXやランサーエボリューション、セリカGT-FOURがあった日本車の凄さを象徴していた。

 また、日本車の猛威に伴ってWRCのトップカテゴリーは海外メーカーの救済もあり、グループAよりは市販車との関係が薄くてもいいWRカー規定に移行したほどだった。

 現在、インプレッサWRXとランサーエボリューションは絶版となっているが、その現代版となるのがGRヤリスである。2020年シーズンまでWRCで続いたWRカー規定はベースとなるボディを使うモデルを2万5000台生産することがホモロゲーション取得の条件となるため、GRヤリスはボディ剛性や空力性能向上を目的に実用性や販売では不利な3ドアハッチバックボディを採用。

勝つために、3ドア・専用エンジン・専用4WDシステムが与えられている。この性能を400万円前後で購入できること自体が驚異的かもしれない

 さらに市販車から国際ラリーの上級カテゴリーに移行しやすいよう1.6Lターボ+4WDというパワートレーンを搭載するなど、GRヤリスは簡単に表現すれば「闘うために産まれてきたクルマ」である。

 世界中探しても現実的な価格でここまで本格的なモータースポーツ参戦ベース車はGRヤリスしかなく、海外でも人気なのもよくわかる。

こちらはGRヤリスRS。RZと同じボディにノーマルヤリスと同じ1.5Lエンジンを搭載。RZの強靭なボディを200万円台で満喫できる贅沢なハッチバック車である。願わくば6MT車の導入を!!

●トヨタGR86&スバルBRZ

トヨタ「GR86」。スバルのSGPをベースにFR化されたモデル。生産も兄弟車であるBRZと同じ、群馬県のスバル本社工場製となる。しかし足回りの部品は専用となり、乗り味もまったく異なる仕上がりだ
スバル新型BRZ(左)。後ろを走る初代と比べるとその流れを汲むクルマであることは見た目からもわかるが、中身は確実に進化。BRZではより落ち着いた大人のスポーツカーとなった

 GR86&BRZは初代、2代目モデルともに、エンジンが2Lか2.4Lの水平対向4気筒NAという違いはあるが、どちらもミドルクラスのFRというオーソドックスなスポーツカーである。

 オーソドックスなスポーツカーだけに86&BRZは初代、2代目モデルともにリアシートが実用的に使えるものでない点以外は、実用性も不便なく、ランニングコスト(ガソリン代やタイヤ代といった走るために必要な費用)も安い。

 86&BRZのようなクルマは300万円前後という条件を外しても世界中に86&BRZしかなく、初代モデルがスポーツカー人気復活の起爆剤となり、初代モデルの成功によって2代目にバトンタッチされたのもよくわかる。

 そういえば、筆者は初代86を自分のものにし、現在GRヤリスと現行BRZに乗っているが、そんなクルマたちだから買ったのだが、自分のことながら考えてみると深く納得できる。

対するGR86はより曲がりやすい特性を持ったクルマに仕上げられた。GR86には写真のようなちょっとやんちゃなエアロ仕様もありかと思えてくる

FCVのMIRAIやランクルも唯一無二のクルマとして君臨

●トヨタMIRAI

トヨタ「MIRAI」はFCVで、世界でも数少ない「真のカーボンニュートラル車」である。将来性やインフラの整備に未来は見えていないが、実験車から市販車へ踏み出した功績は大きい
現行車はTNGAの FR-Lプラットフォームを採用により、高級感のある走行感覚にモーター駆動によるEV感覚の両方を兼ね備えたクルマとなった

 初代モデルが世界初の量産燃料電池車として2014年に登場したMIRAIは、2020年登場の2代目モデルでFFからリア駆動となり、車格も上がったエモーショナルなラージセダンに移行した。

 燃料電池車はいまだ実用化へのハードルが高い技術だけに、市販車は世界に数えるほどしかないうえ、特に日本で「燃料電池車」という認識があるのはMIRAIだけと言っても過言ではない。

MIRAIのFCVユニット全景。フロントにはFCスタック、中央に水素タンク、リアタイヤ部分に電池とモーターを搭載。優れた走行性能と居住性、そして安全性をも備えたレイアウトとなっている

 MIRAIの最大にして唯一の課題は水素ステーションの普及だけで、逆に言えば水素ステーションが自分の周囲にある人でならば、補助金も考慮して内容を見れば激安な価格も含め、今MIRAIに乗って未来を先取りする価値は大きい。

●トヨタランドクルーザー

昨年フルモデルチェンジを果たし300系となったランクル。パリダカで鍛えられた技術を投入した「GRスポーツ」が追加しさらなるファンの獲得も狙う。ただ納期が見通せないのは頭の痛い問題だ

 昨年フルモデルチェンジされたフルサイズの本格SUVであるランドクルーザーは、「納期が見通せない」ということも含めて話題になっている。納期が見通せないほどの人気になっているのはリセールバリューの高さも大きいが、飛び抜けた信頼性&耐久性、悪路走破性の高さなど、替えの効かない孤高のクルマだからである。

適度な光輝感も取り入れつつもやはり「ランクル」であることを演出。エンジンはともにツインターボのV6、3.5Lのガソリンと同3.3Lのディーゼル。ダウンサイジング化による環境にも配慮

 それだけにリセールバリューの高さと密接に関係する盗難率も高く、現行ランドクルーザーは強固なセキュリティを備えているが、それでも盗難対策は二重三重に入念に施したい。

リアスタイルもひと目で「ランクル」とわかるデザインを継承。先代に比べるとメッキ加飾によるギラギラ感は抑えられ、シックさが増した。これがランクルの風格なのかもしれない

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