■S208といったい何が違うのか?
ではタイプRA-RはS208と比べて何が違うのか? S208はスポーツ性もさることながら、プレミアムな質感にもこだわったモデル。それに対してタイプRA-Rは「軽さ」「速さ」「愉しさ」というスバルらしいテーマにこだわったよりスポーティなモデル。
で、S208よりも30kg(1480㎏)の軽量化を達成している。内容はホイールを19から18インチ化(−11.4㎏)。エアロダイナミクスを狙ったデザインのドライカーボン製ドアミラー。ジュラコン製シフトノブ。そして、軽量ファブリック表皮のフロントスポーツ&リアシート。さらにウィンドウォッシャータンクを4.0Lから2.5Lにする、こだわりようだ。
取り外されたアイテムもある。ポップアップ式ヘッドランプウォッシャー、リア間欠ワイパー&ウォッシャー、リアフォグランプ、フロントフードインシュレーター、メルシート(スペアタイヤパン内)、大型フロア下アンダーカバー(トランスミッション下、床下センター)、STIロゴ入りステンレス製サイドシルプレート(フロント)、リアシートセンターアームレスト(カップホルダー付き)、スペアタイヤ、といったところだ。
これら軽量化によってパワーウェイトレシオは、S208の4.589kg/psを凌ぐ4.498kg/psを達成。0〜100km/h加速は4.8秒。ちなみに、ベースモデルのWRX STIのパワーウェイトレシオは4.837kg/psだ。
■バランス取りされた329psエンジンは8000rpmまで、よどみなく回る!
では、走り出そう。8000rpmまで振動もなく気持ちよく回るEJ20のフィーリングはS208そのもの。3速ギヤの6500rpm付近ではブースト計は瞬間的に1.29barを指していた。トップエンドの8000rpmまでも勢いよく回る。前記した0〜100km/h加速4.8秒。もしタイプRA-RにDCTなどのツインクラッチトランスミッションが採用されていたなら、あと0.2〜3秒は速くなるはず。
やはりMTはシフトラグが大きく、その間にターボのブースト圧が落ち込んでしまうからだ。それにしても伸びのある気持ちの良いエンジン。ただ、最近の流行からいうと1000rpm落とした7000rpmにマックスを設定し、そこにさらに最大トルクをぶち込んでほしい気持ちになる。
高回転域まで気持ちいいが、やはりトルクを感じるのは6000rpmまで。最大トルクは4800rpmから落ち始めるので、ならばいっそのこと7000rpmにしても良いのでは? 7200rpmで最大出力の329psを発生するのだが、出力はトルクに回転数を掛け算して算出するもの。
つまり机上値である。トルクの落ち込みさえ少なければ回転を上げることで最大出力は増加するものなのだ。そしてDCTを採用して多段化させたい。ま、贅沢な悩みなのだが、もう8000rpmはトゥーマッチなのでは?
コーナリングはどうか? コーナーに飛び込むとS208よりも、そしてベース車両のWRX STIよりもシャープ! さらにコーナリング中の操舵角が半分ぐらいに少ない。ダンパーはS208の可変ダンパー、ビルシュタイン製ダンプマチックⅡから倒立式のKYB製が装着され、約10mmのローダウンがされている。また18インチのタイヤはミシュラン・パイロットスポーツ 4Sを初採用。
これはトレッド面のアウト側にドライ路面、イン側にウエット路面用のコンパウンドを配した画期的なタイヤ。アクアプレーン対策の縦溝はハッキリクッキリ。デザインもサイズも話題のFIAフォーミュラーEに使用されているものと同じだ。
30㎏の軽量化のなかでの18インチ化によるバネ下の軽量化がハンドリングに大きく寄与している。今回はホイールとタイヤの軽量化にスポットを当て、ベースのWRX STIよりも11.4㎏の軽量化を達成しているのだ。回転部はジャイロ効果があるので高速になるほどに軽量化が効いてくる。このことはさらに速度域の高いサーキットを走れば一目瞭然だ。
コメント
コメントの使い方