大型トラック・トラクタを電動化
Eテックの発表に合わせて「T」及び「C」にBEVモデルが追加された。Tはルノートラックスの大型トラック・トラクタ、Cは建設・特装用トラックだ。新モデルの「T Eテック」はリージョナル(近・中距離輸送)用、「C Eテック」は建設産業用のBEVトラックとなる。
これらの大型BEVトラックの(連結)総重量は最大44トン。EU全域で一般的な総重量の制限値は44トンであり(インターモーダル輸送用の3軸トラクタ+2/3軸セミトレーラの場合。国によってはこれを大幅に超える車両も認められている)、ルノートラックスは小型から大型までフルレンジで電動車両を用意した形だ。
BEVトラックの市場展開を開始したのは2020年なので、わずか2年で全モデルレンジの電動化を果たしたことになり、いかに急激な市場の変化が起きているか窺える。両モデルの製造・販売開始は2023年の初め(第1四半期)から。
大型トラックレンジに属するこれらのモデルは、2ないし3モーターを備え最大490kW(666馬力相当)を発揮する。ギアボックスにはルノートラックスのAMT「オプティドライバー」の搭載が発表されているが、ディーゼル車に搭載するものとは異なる可能性がある。
バッテリーはリチウムイオン電池のバッテリーパックを2~6機搭載し、総容量は180から540kWhとなる。満充電までの時間は43kW-AC(普通充電)で9.5時間、最大250kWのDC(急速充電)で2.5時間。一度の充電で300kmを走行する。運行の途中で1時間の急速充電を行なった場合の航続距離は500kmとする。
また、特に特装車ではボディへの動力供給が重要になるが、エンジンPTO(パワー・テイク・オフ)が使えなくなる替わりに、電動PTO、電気メカニカルPTO、ギアボックスPTOの3種類のPTOを用意する。
アクスル構成は、トラクタ系が4×2と6×2、リジッド(単車)系は4×2, 6×2および8×4だ。8×4リジッドの4軸車は後3軸のトライデムで、日本で一般的な4軸低床車ではない。
製造はルノートラックスのブール=カン=ブレス工場となる。当然ながら、「Eテック」レンジで追加された全面的な顧客サポートは、新型車でも利用可能。
これまで26トンクラスまでの展開だったルノートラックスの電動車両が44トンクラスまで拡大したことで、2040年までに販売する車両の全てをカーボンニュートラルにするという同社の目標は大きく前進したと言えそうだ。
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