フォルクスワーゲングループの商用車部門であるトレイトンは、マンやスカニア、ナビスター・インターナショナルなどを擁する世界有数の商用車グループだ。
そのトレイトンはグループ各社で共有する次世代のディーゼルエンジンプラットフォーム「CBE」(コモン・ベース・エンジン)を開発しているが、同社は2022年4月5日のプレスリリースで「エンジンの新規開発はCBEが最後になる」と明言。
ディーゼルエンジンはもともとドイツのルドルフ・ディーゼル博士と、現在はトレイトン傘下のマン(MAN)が共同で実用化したもの。大型商用車においても電動化の潮流は不可避とはいえ、生みの親であるマンが「ディーゼルエンジンの終焉」を宣言したことに衝撃が広がった。
トレイトンは2026年までにバッテリー電気駆動に26億ユーロを投資する。しかしながら、従来の内燃機関からの移行は一夜にして成るものではなく、「最後のディーゼルエンジン」には、電動パワートレーンへの橋渡しをするという大切な役割が残されている。
余談だが、トレイトンは電動車両の開発などに関して日本の日野自動車とも協業関係にある。今般の不正問題による型式の指定取り消しの今後の状況によっては、日野が急きょCBEの調達に動く可能性もあるかもしれない。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/TRATON Group・Scania・MAN