■安全装備や環境適合へのコストが積み上がり、新車価格は30年前の1.4倍にまで膨れ上がる
このように機能や装備と価格のバランスでは、今のクルマは1997年頃よりも割安だが、価格の金額自体は高まった。
例えば1996年に発売された初代ステップワゴンの最上級グレードとなるWは、価格が当時214万8000円だったが、新型ステップワゴンで一番安価な1.5Lターボを搭載するエアは299万8600円だ。初代の最上級と、新型の最廉価グレードを比べても、新型の価格は初代の1.4倍になる。
その代わり初代では、4輪ABSは9万8000円、運転席&助手席エアバッグは8万円のオプション装備だった。新型ではこのふたつの装備に加えて、横滑り防止装置、衝突被害軽減ブレーキ、誤発進抑制機能、サイド&カーテンエアバッグ、渋滞時を含めて先行車に追従走行する運転支援機能などがすべて標準装着される。エンジンも初代は2Lのノーマルタイプだったが、新型は1.5Lターボだから動力性能が向上した。
このように今のクルマでは、機能と装備が充実して安心感も高めているが、200万円の価格を基準にすると、購入可能な車種のボディサイズとエンジン排気量がコンパクト化している。しかも前述のとおり、1997年頃に比べて所得も下がったから、小さなクルマに乗り替えるダウンサイジングが進んだ。
そこで改めて、税込み年収が600万円、車両価格は3分の1の200万円でクルマを選ぶと、購入の対象はコンパクトな車種になる。その推奨モデルをカテゴリー別に取り上げてみたい。
■コンパクトカー:ホンダフィット1.3ホーム(176万7700円)
人気の高いコンパクトカーには、ノートやアクアもあるが、両車ともハイブリッド専用車だから価格が200万円を軽く超えてしまう。ヤリスには200万円以下のノーマルエンジンもあるが、後席が狭く乗り心地は硬めだ。
車内の広さで選ぶと、ルーミーも200万円以下のグレードを用意するが、走行安定性、乗り心地、後席の座り心地といった基本性能に不満が伴う。
そこでフィットを推奨する。特徴が乏しく動力性能は充分とはいえないが、走行安定性と乗り心地のバランスはいい。後席の足元空間は、前後方向の余裕についてはCR-V並みに広い。燃料タンクを前席の下に搭載したから、荷室の床も低く抑えられ、後席をコンパクトに畳める。ボディは運転のしやすいサイズだが、ファミリーカーとして使える実用性を備える。
さらにフィットはほかのコンパクトカーに比べて視界もよく、日常的な使用で気になる欠点が少ない。1.3Lノーマルエンジンのホームなら価格も176万7700円に抑えられ、実用的な機能と価格のバランスでは買い得だ。
コメント
コメントの使い方