エンジンは永久に不滅です! 現代の主流「排気量をアップして燃費向上」のカラクリに迫る

■可変圧縮機構VCRをインフィニティQX50に搭載!

世界初の可変圧縮エンジンを搭載したインフィニティQX50は2017年12月にデビュー。これまでの3.5L、V6からVCR機構を備えた2L、直4ターボエンジンに変更

可変圧縮比技術は、ピストンの上死点位置をシームレスに変化させることができるマルチリンクシステムを活用しており、最適な圧縮比に素早く変化。ピストンストロークの長い高圧縮比運転では吸気バルブ遅閉じのミラーサイクルで運転する。モーターが回転するとリンクのレバー比が変わり、コンロッドの大端部位置が上下することで、圧縮比が8.0から14.0まで連続可変する

2017年12月、日産が20年以上開発を続けてきて、ようやく実用した可変圧縮機構、VCRにも注目したい。これもストロークを変化させるため、可変排気量エンジンと見ることもできる。

VCRは内燃機関の一層の高効率化に向け、ピストンの上死点位置をシームレスに変化させることで圧縮比を最適化する技術で、2L、直4ターボ(MR20DDT)に組み込まれたもので、運転状況により圧縮比を8.0~14.0の間で変化させ自動制御。

パワースペックは272ps/38.8kgmで、高速定常走行時には低燃費を実現しつつ、ディーゼルエンジンのような力強いトルクを持ち合わせている。これまでの3.5LのV6 NAエンジンに比べ、最大トルクが+10%、燃費性能が+27%向上しているという。

渋滞時には高圧縮比を維持し、加速時など大トルクが必要時には過吸量を増やし、圧縮比を低くしてノッキングを抑制することで、より高出力や大トルクを発生。

構造としては、ピストンの支持機構と、その位置を変えるモーター機構に分けられ、「マルチリンク」と呼ばれる回転機構で構成。ピストンを支持するコンロッドを3本のリンクとモーターに換え、モーターでピストンの上下位置を動かして圧縮比を変化させる。

日産はこのVCR技術を活用し、今後10年程度で熱効率が50%に達するエンジンの開発を目指しているという。

■HCCIを採用するマツダのSKYACTIV-X

SKYACTIV-Xが搭載されたアクセラは2018年11月発表、2019年から発売される予定

2018年11月にも米国で発表され、2019年から発売する予定の新型アクセラ。これに搭載される予混合圧縮着火HCCI(Homogeneous-Charge Compression Ignition=予混合圧縮着火)はガソリンをディーゼルエンジンのように自己着火させて、CO2削減とクリーンな排気を両立させる究極の燃焼方式と言われてきた。

しかし、HCCI燃焼をコントロールすることが難しく、またHCCI燃焼ができる領域もごく限られていた。また、HCCIからSI燃焼(Spark Ignition=火花点火)の切替が難しいというハードルがあった。

マツダが目指したのはCCI=Controlled Compression Ignition「完全に制御された圧縮着火」燃焼。ガソリンエンジンのSKYACTIV−Xは、排気量という概念を超えたところにあるパワーユニットだ。

HCCIの原理は圧縮された空気が発熱する原理を応用し、スパークプラグなしに全体を一気に圧縮着火させる。通常のガソリンエンジンでは燃料1に対して空気14.7の割合より非常に薄い混合気でもしっかり燃えて燃費も向上

なにしろ、ガソリンエンジンは空気が12~14.7に対して燃料1という空燃比であるのに対し、最大で40対1という3分の1近い希薄燃焼を実現する。これにより、排気ガスもクリーンになり、燃費も向上している。

SKYACTIV-G 2.0と比べて、全域で10%、部分的には30%のトルクアップを果たしたという開発陣の主張が、十分に実感できる力強さだ。

SKYACTIV-Xの開発目標値は、2Lで最高出力190ps、最大トルク23.5kgmとアナウンスされている。いうなればガソリンとディーゼルのいいとこ取りではないだろうか。

このようにエンジンはここ数年の間にこれだけ進化を果たしている。そしてこの先もエンジンはますます進化していくのだ。まだまだエンジンは死なない!

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