衰退した2ボックスリッターカーの盟主、パッソ
が、21世紀の今は寂しい限りだ。1Lエンジンを積む車は激減し、トヨタとダイハツ、スズキ、スバルの4社だけとなっている。だが、多くはダイハツ製のエンジンだ。三菱は1Lエンジンを整理してしまった。スズキも主役は1.2Lエンジンである。
トヨタとダイハツは10月10日にパッソとブーンをマイナーチェンジし、内外装のデザインを大きく変えた。フロントマスクを大胆に変え、先進安全装備も充実させるなど、気合の入ったマイナーチェンジだ。
が、パッソ/ブーンの売れ行きは伸び悩んでいる。両車を合わせても2018年1月から9月までの登録台数は4万144台にとどまった。化粧直しによって販売台数は上向くだろうが、冷え切った国内市場の中で、月販5000台レベルまで引き上げるのは簡単ではない。
ちなみにリッターカーでトップを快走しているのは、トヨタのルーミーとタンク、そしてダイハツのトール、スバルのジャスティ4兄弟だ。ルーミーとタンクは合わせると月平均1万4000台近くを販売している。
が、これは例外だ。ハイトワゴンでない、背の低い2ボックススタイルのリッターカーは、月販5000台ラインには届いていない。
国産リッターカー苦戦の理由と今後の打開策は?
パッソ/ブーンに代表されるAセグメントの国産スモールカーは、元気がない。その理由は軽自動車、軽ハイトワゴンの出来がよくなっているからである。4人乗りという制約はあるが、パッケージングは素晴らしいし、装備の使い勝手もいい。
インテリアの質感と装備の充実度も互角か、それ以上だ。実用燃費も一歩上をいく。ターボ車なら走りの実力も高く、高速道路でも余裕がある走りを見せる。先進安全装備だってリッターカーと互角以上の実力だ。
また、1クラス上のアクアやノートなどのように飛び道具もない。こう考えてくると、ハイブリッド車やe-POWERの設定はないから平凡と感じてしまう。軽自動車と上のBセグメントのファミリーカーを上回る魅力を持たない限り、リッターカーを選ぶという選択肢はないのである。
海外にはup!やトゥインゴ、フィアット500など、魅力的なリッターカーが多い。ドメスティックの壁を破り、世界に通用するリッターカーを開発しないと日本のリッターカー市場は衰退してしまう。
これからのリッターカーは、道具としての使い勝手がいいだけでなく、欧州製のスモールカーに負けない走りの実力や剛性、卓越した安全性能が求められる。日本の税制は1Lを区切りとしているから、そのなかで最高のスモールカーを生み出してほしい。
カギは、日本が得意とする電動化や世界トップレベルの安全性能、使い勝手がよく、しかもキュートで質の高いデザイン、上級クラスを凌駕する走りの実力などだ。
序列の枠の中に収まっているようでは世界と勝負することはできない。これから数年が踏ん張りどきだ。また、電動化の時代が間近に迫っているからチャンスでもある。
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