高い税金にも負けず!!! クルマのプロが愛する「ビバ!! ちょい古グルマ」

 昔より車齢が伸びているとはいえ、13年落ちはひとつの曲がり角。ここから自動車税と重量税が上がるという天下の悪法もあるし、けっこう粘り強い人でも「そろそろ買い換えようかな」と思うクルマのお年頃でもある。

 でも、そんな気持ちはまったくなく、「ちょっと古いクルマ」を楽しみ続けている人ももちろん多い。

 本企画では、クルマのプロであるモータージャーナリストのなかで、13年落ち以上のクルマに乗り続けている人たちを発掘。

 高い税金にも負けず、なぜそのクルマに乗り続けているのか? そのクルマのどんなところに魅力を感じているのかなどを紹介していこう。

文/鈴木利男、中谷明彦、桂伸一、渡辺敏史、大井貴之、森口将之、清水草一、ベストカー編集部(掲載順)
写真/ベストカー編集部
初出/ベストカー2018年11月26日号


 ではさっそく元GT-Rの開発テストドライバーとして著名な鈴木利男氏の愛車からいってみよう!

■元GT-Rの開発テストドライバーがサンバーでドリフト!?

●鈴木利男(プロドライバー)/2005年式サンバートラック

自宅裏山の掃除に欠かせない相棒がサンバートラック。RRだからドリフトも自由自在とか

 自宅の裏に小さな山があるんですが、年に3~4回、木の剪定や草刈り、ゴミ掃除などを自分でしているんです。その時サンバーが大活躍するんですよ。もちろん、RRのスバル製サンバーです。

 裏山はうちが代々相続してきたもので、今さら売れないし、それにこの年に数回の山掃除がボクは大好きなんですよ。無心で木を剪定してきれいになるとすごく気持ちいいんですよね。

 うちのサンバーは7~8年前に中古で買った2005年式で、NAエンジンの5MT車。この荷台に木や草を満載して焼却場に持っていくんですが、その走りがたまらなくいいんですよ。

 ルノートゥインゴのロングホイールベース版に乗っている感覚だとよくいうんですが、よくわかんないかな(笑)。後輪駆動でドリフトも自由自在。本当に楽しいですよ。

 もう作ってないのが残念ですが、このクルマがダメになったら、たぶんまたオリジナルのサンバーを中古で探しますね。今もちょくちょくネットで調べているんです。

※鈴木利男さんのショップ、ノルドリンクのホームページはこちら!

■グループCカー譲りの性能に惚れた!

●中谷明彦(モータージャーナリスト)/1993年式ポルシェ911ターボリミテッド

レースで闘ったポルシェ962Cの技術をふんだんに採り入れた964型911ターボは、すごく安く感じたという

 僕は1993年式ポルシェ964型911ターボLTD(リミテッド)を今も保有しているよ。購入したのは1996年。当時ミツワのギャランティードカーだった。

 なぜ964ターボなのかというと1989~1990年の2シーズンをグループCカーのポルシェ962Cで走り、国内ではデビューウィンを記録したし、ル・マン24時間レースにも出場した。

 そこでポルシェ962Cの凄さ、優秀性を知ったのだけど、パーツの部品番号を見たら多くのパーツが「911/964***」みたいに記載されている。

 つまりロードカーの911と多くのパーツが共用されていたわけ。ターボのウエィストゲートやKジェトロニックも同じ。それを知りロードカーの911ターボに凄く魅力を感じるようになったんだ。

 962Cは当時約1億円。それが911ターボは1000万~2000万円で買え、むしろ安く感じてしまったね。そして今は購入した時の価格以上に価値が上がっている。永く大事に乗ってきてよかったよ。

■レースに直結したクルマがどうしても欲しかった

■桂 伸一(モータージャーナリスト)/1992年式ベンツ190E 2.5-16V エボリューションII

レースに直結したクルマを求めたら、これになった。かけたコストも完成度も今のクルマとはひと味違うと桂さん

 もちろんレース好きだし、商売だからレースに直結したクルマが欲しかった。1980~1990年当時はレースで使うために、市販車に〝その仕様〟が必要だった。

 BMW M3、ランチアデルタ、R32GT-R、ランエボ/インプもそうだが、レース、ラリーで勝つために、新たな空力パーツ、機構を付けるには市販車にもソレが必要だった。世界限定500台「グループA規定」と進化を意味するエボの偉大さだ。

 現代の空力のバケモノではなく、自分のクルマと同じ仕様が世界中の競技で活躍していたからそりゃ感情移入もするさ。

 最も小さいベンツだった190ですら、ドアを開閉すると金庫のように重厚だ。つまりコストがかかっている。クルマとしての完成度も今の優れた工業製品とは違う。

 独身でペーペーの時代、コレを見つけ金策に奔走し、手元にきたのが1992年。当時の彼女は女将になり、今やほとんど乗らないのだから〝売れ売れ攻撃〟をかわしつつ家族の1台は我が家にいる。

 エボIIが高騰している今が売り時といわれるが、当時1500万円が今2000万円のどこが売り時なのか!?

■小さくて薄くて軽い華奢なところが大好き!

■渡辺敏史(モータージャーナリスト)/2001年式FD3S型RX-7

渡辺敏史さんの愛車であるFD-3S型RX-7。アナログ的なところが肌になじむという

 RX-7に乗り続ける理由、そのほとんどは腐れ縁の古女房的なところにありつつも……、まず今のクルマと一番違うところは小さく薄く軽くて華奢といったところ。そんなところが大好きですね。

 デビュー時は巨大にみえたボディサイズながら、今になぞらえれば奇しくも86/BRZがよく似たディメンジョンであるのは単なる偶然でしょうか。

 ただし、あちらは各種衝突安全要件や操縦安定性を加味しての肉厚ボディ&ロングホイールベースですが、RX-7はそんなの知ったこっちゃない時代のクルマですから横っ腹も薄いし、Aピラーもか細いわけで、そんな時代性が佇まいにある種の儚さというか繊細さを生んでくれています。

 そしてインターフェースがアナログなところも肌なじみがいい。開閉感が定量的なワイヤー式スロットルや油圧式パワステなんて今のクルマでは望めませんが、人馬一体的な話をすれば旧いソリューションにこそリニアリティの核心があるように思います。

■マイカーとの付き合いは彼女を作るのと一緒

●大井貴之(モータージャーナリスト)/2003年式NB型ロードスターなど

「旧車好きなわけではないが、なぜか少し古い愛車が多い。長く付き合うほどわかってくることがたくさんあると大井さん

 現在、NB型ロードスター、S2000、そして1989年型の930型ポルシェ911ターボという、少し古いクルマを3台所有している。

 だからといって、別に旧車が好きというわけではない。オレが古いクルマに乗り続けている大きな理由は単純明快、新しいのを買う財力がないからだ。しかし、そのおかげで短期間では味わうことができないいい付き合いをすることができている。

 マイカーとの付き合いは、彼女を作るのと一緒。出会った頃は強烈に盛り上がり、一時も離れたくない気持ちになる。それから時間経過とともに気持ちは落ち着いてくるが、ともに過ごした想い出が増えていく。

 そういう意味で、すでに26年の付き合いになるポルシェ911ターボとは家族のような関係。S2000とロードスターという2台は、どっちか1台を手放せと迫られているが、どっちも可愛い存在。オープン2シーターとくくってしまえば同じだが、それぞれの魅力は別モノ。と迷っているウチに、また年月が経っていく。

■性格と生活にフィットする

●森口将之(モータージャーナリスト)/2002年式ルノーアヴァンタイム

最後のマトラ製であることに惹かれて購入したアヴァンタイム。ほかにはない全面ガラス張りが極上の心地よさを提供してくれるという

 アヴァンタイムを買った理由は、それが、フランスのスポーツカーメーカー、マトラの最後のモデルということが大きい。

 数あるフレンチブランドのなかでも独創と先鋭が際立っていて、F1やル・マン24時間レースで優勝した強さも併せ持つ。昔、ミドシップ3シーターのムレーナを所有した自分にとって、2003年の自動車事業撤退は衝撃で、急いでお金を貯めて翌年手に入れた。

 ではなぜ今も乗り続けているかというと、2ドアのミニバンというほかにはないパッケージが便利で快適だから。

 後席が広いクルマはいくらでもあるが、前席の広さでは上をいくものがない。しかも全面ガラス張り。これが極上の心地よさを生み出す。

 しかもクーペなのに積める。ダイニングテーブルやソファを運んだこともあるし、2匹の飼い猫とともに家族旅行というシーンでもこのスペースは重宝した。

 現代建築を思わせるデザインもリラックスできて好み。いろんな意味で自分の性格と生活にフィットするクルマなんだと、今では思っている。

■デカイクルマが嫌いで子供ウケするクルマが好き!

●小沢コージ(モータージャーナリスト)/2005年式ミニコンバーチブル

今のミニはエンジンだけ欲しいと思うが13年前のミニでも充分楽しい。子供ウケするところも最高という小沢さん

 あえてミもフタもない言い方をするとお金がありません。職業柄毎日いいクルマに乗りますし、理想的にはポルシェだのフェラーリだのBMWだとちょくちょく乗り換えたいとこですがとっても無理。今の輸入車で当たり前の500万円なんて払えません。

 ってか自動運転技術と燃費と一部ハイテク以外、今のクルマで絶対的に欲しい部分は見つかりません。正直13年前のミニで充分楽しくて可愛い。特に自分はデカいクルマが嫌いで子どもウケするクルマが好きなのでミニはサイコー。

 最新型ミニは、特にエンジンはリアルBMWそのもので超キモチいいし、このエンジンだけ欲しい! とか一瞬思いますが、追金200万円以上払うほどには。職業が変わって月収200万円以上になったら新車に買い換えたいです。

 ってか今100万円あれば中古のポルシェボクスターからデカいミニバンまでなんでも買えます。日本は低価格良質中古車の天国。新車買ってる場合じゃないって!(笑)。

■フェラーリは「30年落ちくらい」がちょうどいい

●清水草一(モータージャーナリスト)/1987年式フェラーリ328GTS

速いクルマに疲れた身には少し古いスーパーカーがよくなじむ。回り回って328に戻ったという

 私はこれまで11台の中古フェラーリ様に乗らせていただきましたが、どのモデルも、所有当時は「地上最高!!」と思っておりました。今乗ってる328GTSの前は、458イタリアでした。

 それはもう、UFOのように曲がってロケットのように加速しましたよ。異次元を見せてくださいました。デザインも最高。当時は458イタリア崇拝を進めておりました。

 それが一転、今は328。1987年式なので、31歳の熟女ですが、今の私にとっては、これがベストです。価値観はその時々によってメチャメチャ変わるものなのですね~。

 前提として、もう速いクルマはいいや……ってのがあります。速いクルマは、ある程度速く走らないと面白くないので、年齢を重ねるごとに疲れて楽しめなくなってきます。速いのに乗れたからこそいえる部分もありますが。

 328は速くないです。全開にすりゃそんなに遅くはないくらいの感じで、フツーに流してるだけで気持ちいいんです。街行く人々の目もとってもあったかい! 458だと「ケッ」と思われておしまいでしたが、328だと、恋人を見るような目で見てくれます。自分も周囲もホッコリするんですよ。

 56歳の今の私には、「フェラーリは30年落ちくらいがちょうどいい」と断言します。

■澄んでいくエンジン音にウットリ!

●飯嶋 穣(ベストカー編集部)/1999年式R34スカイラインGT-R

老体ゆえ完調とはいえないが、それでも走らせるとチョー気持ちいいという。これでは手放すはずはないか

 私が1999年式のR34型GT-Rを所有し続ける理由、それは当然だが、クルマを買い換える金がないからではない。

 正直、いいことはあんまない。燃費はクソ悪く、税金もクソ高い。最近はディーラーに気になることを伝えても、わかる人間が減ったのか、反応はスポンジーだ。

 だがそれでも手放せない。老体ゆえ完調とはいえない。が、それでも走らせると「チョー気持ちいい!」と思える瞬間があるのだ。

 エンジンを回す必要はない。2000回転から2500回転に向けて澄んでいくエンジン音を聞いてるだけでウットリする。おそらく自分の感性とクルマが合ってるのだろう。クルマがどう思ってるかは知らない。

 ここまでクルマが気持ちいいと、なかなか買い換えに至らない。自分の感性に合わないクルマを所有するリスクは冒したくないからだ。だから私は今日もR34型GT-Rに乗る。大事なことだから2回言うが金がないわけじゃないのだ。

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