RX-7、ポルシェ… クルマのプロが愛する「ビバ!! ちょい古グルマ」

■レースに直結したクルマがどうしても欲しかった

■桂 伸一(モータージャーナリスト)/1992年式ベンツ190E 2.5-16V エボリューションII

レースに直結したクルマを求めたら、これになった。かけたコストも完成度も今のクルマとはひと味違うと桂さん

もちろんレース好きだし、商売だからレースに直結したクルマが欲しかった。1980~1990年当時はレースで使うために、市販車に〝その仕様〟が必要だった。

BMW M3、ランチアデルタ、R32GT-R、ランエボ/インプもそうだが、レース、ラリーで勝つために、新たな空力パーツ、機構を付けるには市販車にもソレが必要だった。世界限定500台「グループA規定」と進化を意味するエボの偉大さだ。

現代の空力のバケモノではなく、自分のクルマと同じ仕様が世界中の競技で活躍していたからそりゃ感情移入もするさ。

最も小さいベンツだった190ですら、ドアを開閉すると金庫のように重厚だ。つまりコストがかかっている。クルマとしての完成度も今の優れた工業製品とは違う。

独身でペーペーの時代、コレを見つけ金策に奔走し、手元にきたのが1992年。当時の彼女は女将になり、今やほとんど乗らないのだから〝売れ売れ攻撃〟をかわしつつ家族の1台は我が家にいる。

エボIIが高騰している今が売り時といわれるが、当時1500万円が今2000万円のどこが売り時なのか!?

■小さくて薄くて軽い華奢なところが大好き!

■渡辺敏史(モータージャーナリスト)/2001年式FD3S型RX-7

渡辺敏史さんの愛車であるFD-3S型RX-7。アナログ的なところが肌になじむという

RX-7に乗り続ける理由、そのほとんどは腐れ縁の古女房的なところにありつつも……、まず今のクルマと一番違うところは小さく薄く軽くて華奢といったところ。そんなところが大好きですね。

デビュー時は巨大にみえたボディサイズながら、今になぞらえれば奇しくも86/BRZがよく似たディメンジョンであるのは単なる偶然でしょうか。

ただし、あちらは各種衝突安全要件や操縦安定性を加味しての肉厚ボディ&ロングホイールベースですが、RX-7はそんなの知ったこっちゃない時代のクルマですから横っ腹も薄いし、Aピラーもか細いわけで、そんな時代性が佇まいにある種の儚さというか繊細さを生んでくれています。

そしてインターフェースがアナログなところも肌なじみがいい。開閉感が定量的なワイヤー式スロットルや油圧式パワステなんて今のクルマでは望めませんが、人馬一体的な話をすれば旧いソリューションにこそリニアリティの核心があるように思います。

■マイカーとの付き合いは彼女を作るのと一緒

●大井貴之(モータージャーナリスト)/2003年式NB型ロードスターなど

「旧車好きなわけではないが、なぜか少し古い愛車が多い。長く付き合うほどわかってくることがたくさんあると大井さん

現在、NB型ロードスター、S2000、そして1989年型の930型ポルシェ911ターボという、少し古いクルマを3台所有している。

だからといって、別に旧車が好きというわけではない。オレが古いクルマに乗り続けている大きな理由は単純明快、新しいのを買う財力がないからだ。しかし、そのおかげで短期間では味わうことができないいい付き合いをすることができている。

マイカーとの付き合いは、彼女を作るのと一緒。出会った頃は強烈に盛り上がり、一時も離れたくない気持ちになる。それから時間経過とともに気持ちは落ち着いてくるが、ともに過ごした想い出が増えていく。

そういう意味で、すでに26年の付き合いになるポルシェ911ターボとは家族のような関係。S2000とロードスターという2台は、どっちか1台を手放せと迫られているが、どっちも可愛い存在。オープン2シーターとくくってしまえば同じだが、それぞれの魅力は別モノ。と迷っているウチに、また年月が経っていく。

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