■トヨタ センターデフLSD式4WD/ランドクルーザー
ランクルのトルセンセンターデフLSD付き4WDは、こちらもトルセンの特性を活用して基本前:40/後:60の不等比トルク配分を行ない、センターとリアのデフをメカニカルにロックできる機構やダウンヒルアシストなど総合的な駆動力制御機能を盛り込んでいる。
ランクルのウリはマルチテレインセレクトと呼ぶ駆動力制御システム。泥濘や砂地など路面モードが5種類用意され、エンジントルク制御とブレーキLSDを組み合わせて各輪の駆動力を最適化。
スイッチひとつで、誰でも簡単にベストなトラクションが得られるよう工夫されている。
■スズキ パートタイム4WD/ジムニー
いっぽう、こういうハイテク4WDメカニズムに対するアンチテーゼとして「4WDメカニズムはシンプルであるべし」という考え方もある。
オフロードでは過酷な環境になればなるほどシンプルで頑丈なことが重要になる。いくら快適でも途中でスタックしたり、故障したのでは意味がない。厳しい条件で使われる4WDほど、何よりも信頼性が重視される。
新型ジムニーの4WDメカが、いまだにこのパートタイム4WDなのもそのためだ。
ジムニーほど世界中さまざまな環境で酷使される4WDは他になく、しかもメンテに充分なお金がかけられない途上国のシェアが大きい。そこでは、高級で複雑な4WDシステムも宝の持ち腐れ。タフで簡素なメカニズムが求められる。
この新型ジムニーの4WDシステムは1945年デビューのジープCJから基本的に変わっていない。ひょっとすると、オフロードを走るための機構は、これ以上進化しようがないほど完成されているのかもしれない。
■最近は電子制御カップリングによるスタンバイ4WDが主流
本格オフロード志向のクロカン4WDに対して、よりオンロード志向のSUVで4WDの主流となっているのが電子制御カップリングによるスタンバイ4WDだ。
メカニズムはいたってシンプルで、基本となる2WDシステム(FFでもFRでもいい)から、電子制御カップリングを介して、もう一方の車軸へトルクを取り出すというもの。
ビスカスカップリング全盛の頃はスタンバイ4WDというと「あぁ、生活4WDね」という感じでクロカン派からナメられていたが、これが電制カップリングの進化によって様変わり。センターデフ付き4WDのシェアを切り崩している。
このタイプで先行していたのは2000年デビューの初代エクストレイルだが、それまでセンターデフを採用していた三菱やトヨタが、エアトレックや3代目RAV4で電制カップリングに転向したのがターニングポイントだった。
タイムラグゼロでトルクが伝達できるのはセンターデフの魅力だが、自由にトルク配分を変化させたり、制御の自由度が高いのは電制カップリング。スタビリティコントロールとの相性も良い。
この優れた特性がウケて、最近登場するSUVの4WD仕様はほぼ100%電制カップリングを使ったスタンバイ型に移行している。
ただ、各メーカーが同じ電制カップリングユニット(主流はジェイテクト製)を使うようになると、ライバルとの差別化はその制御をいかに賢く行うかにかかってくる。
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