■日産 オールモード4×4i/エクストレイル
ここでも先行したのはエクストレイルで、2代目の“オールモード4×4i”でより高度なインテリジェント制御に進化。新たに“ヨーモーメントフィードフォワード制御”という概念が導入されている。
舵角センサーやアクセル開度などからコーナー進入時のドライバーの意思を予測。前輪のコーナリングフォースを確保するため、必要なら後輪にトルクをシフトさせる制御を行なう。
考え方としてはFRベースのアテーサE−TSと同様の制御だが、FFベースだと通常のフィードバック制御ではどうしても“遅れ”が生じて違和感が残る。
SUVで重要なアイスバーンでのリニアなハンドリングを狙おうとすると、予測制御でないと間に合わないのだ。
旋回が始まった後は横Gから算出されるヨーレートと舵角センサーから見た目標ヨーレートを比較、今度はフィードバック制御で前後トルク配分を変化させて目標コーナリングラインに乗せるべく前後駆動力配分が調整される。
■マツダ i-ACTIV AWD/CX-5、CX-8ほか
この考え方を踏襲し、さらにお得意のGベクタリング制御を盛り込んだのがマツダのi-ACTIV AWDといえる。
マツダによると、いくら電制カップリングを巧みに制御してもエンジン側のトルクレスポンスが追いつかないと絵に描いた餅で、緻密にトルク変化を制御できる応答性の高いエンジンがあってはじめて、思いどおりのライントレースが可能になるという。
つまり、最新の電製カップリング4WDの制御は、相当にハイレベルなところまで来ているということ。タフネスと信頼性を重視するオフロードとは対照的に、緻密でデリケートな領域で技術競争が繰り広げられているわけだ。
■スバル マルチモードDCCD/WRX STI
スバルといえば4WDの種類が多いことで知られるが、WRX STIの6MT仕様は前41:後59の不等比トルク配分で、しかもセンターデフの差動制限率をドライバーが自由に選べるのが特徴。
DCCDドライバーズ・コントロール・センター・デフ)と呼ぶこのシステムはスバルだけのユニークなメカニズムだ。
従来は電子制御と機械制御の組み合わせだったが、2017年6月の年次改良で、これを電子制御のみに一本化。「新電子制御マルチモードDCCD」として、回頭性をこれまで以上に高めている。
■スバル 電子制御式VTD-AWD/レヴォーグ2L、WRX S4ほか
センターデフ付きでもAT仕様では不等比トルク配分が前45:後55となり、油圧多版クラッチLSDが備わるVTD-AWD(バリアブル・トルク・ディストリビューション/不等&可変トルク配分電子制御AWD)となる。WRX S4とレヴォーグの2Lモデルがこのシステムを採用している。
通常時のデフフリーの状態でやや後輪寄りの駆動配分とし、前輪の縦方向のグリップ負担を減らしてFR車的な回頭性を追求したシステムで、スロットル開度やエンジン回転、車速、前後輪の回転差をセンシングし、走行状況の変化に応じてトルク配分を制御。
低μ路では前後直結状態にも近くなるなど、曲がりやすさと走破性を高い次元で両立している。
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