【楽しくて乗り心地がいい車12選】奥さん彼女が喜ぶクルマはどれだ?

モータージャーナリストの岡本幸一郎さんファミリー。岡本さんもやはり奥さん、お子さんが喜ぶクルマを選ぶ、とのこと

 新車を購入する時、判子を押す決定権は誰が持っていますか? やはり、大蔵省たる奥さんでしょうか? それとも貴殿(夫)でしょうか?

 なにはともあれ、財布の紐は奥さんが握っていたほうが家庭内がうまく回る気がします。それが奥さんではなく、彼女の場合でも、助手席に乗る彼女が喜んでくれたほうがいいに決まってますよね!

 奥さん、彼女が喜ぶのはどんなクルマでしょうか? やはり足回りがガチガチで固いクルマはイラッとされて不満たらたら、クルマに乗ってくれなくなるでしょうね。そうなると、やはり奥さん、彼女が喜ぶクルマは、乗り心地がいいクルマでしょう。

 ということで、奥さん、彼女が喜ぶ乗り心地のいいクルマを、奥さんと幼いお子さん2人が可愛くて仕方がないモータージャーナリストの岡本幸一郎氏が選び、解説します。

 軽自動車、コンパクトカー、ミニバン、SUV、セダン、スポーツカーの各カテゴリーのなかから、普通のグレード(クルマ)と、スポーツモデルを1車種ずつ選んでもらい(家族が乗ることもあり、2シーターは除く)、なぜ選んだのか、その理由を書いてもらいました。

 スポーツグレードに関しては、そこはやはりクルマ好き、本当はスポーツカーに乗りたいのだけれど、子供がいるのでもう無理。できれば、奥さん、子供を満足させつつ、自分もスポーツ走行できる、走りが楽しいクルマという目線で選んでもらいました。

文/岡本幸一郎
写真/ベストカーWeb編集部


■軽自動車 普通のグレード/N-BOX スポーツモデル/コペン

■普通のグレード 乗り心地ナンバー1/N-BOX

2018年11月の新車販売台数は15カ月連続で軽自動車販売ナンバー1を獲得したN-BOX

  軽自動車で走りと乗り心地と使い勝手のバランスがいいのは、ひと昔前まで「ハイトワゴン」と呼んでいたワゴンクラスだ。

 その上の、ひと昔前まで「スーパーハイトワゴン」と呼んでいた現ハイトワゴンクラスは、狭いトレッドに対して重心が高いため、操縦安定性を確保するために足回りを固めたり、どうにも上屋がグラつく印象が強くて……と思っていたら、それらを見事に払拭したハイトワゴンが現れたのが1年あまり前。それが2代目N-BOXだ。

 見た目は初代とあまり変わっていないが、中身は激変していて、剛性感が高く、背高なわりに重心の高い感覚が小さくて、スイスイと走れて乗り心地も快適。車体がものすごくよくできていることが乗り味にも表れている。

 もちろん持ち前の広々とした開放的な室内空間はそのまま。その点ではワゴンクラスを圧倒する。そのあたりを評価して、N-BOXに決定。

■スポーツモデル 乗り心地ナンバー1/コペン

軽オープンスポーツカーのコペン。こちらは丸目ライトが可愛いコペンセロ。もちろん異型ヘッドライトのローブとクロスオーバースタイルのエクスプレイも健在

 軽自動車は、軒並みカスタム系のほうが標準系よりも販売比率が高いぐらいだし、カスタム系と標準系で足まわりの設定が共通で、タイヤのみ異なるという車種が大半で、スポーツモデルとしてカスタム系を扱うのはむしろ難しいので除外した。

 スポーツモデルでは、アルトワークスは走るととても楽しい半面、かなりスパルタンなので、N-ONEモデューロXかアルトターボRSのどちらかを、と思っていたが、残念ながらどちらも生産終了であることが判明。

 4人乗れないと困るという人には、N-ONE RSという魅力的な選択肢も残されているが、軽自動車ならセカンドカーもアリかなということで、2シーターも入れるとすると、S660とコペンなら、快適性ではコペンだ。

 むろんどちらも楽しいクルマであることは重々承知していて、しいていうとミドシップのS660のほうが走りはエキサイティングだが、狭くて乗り心地もそれなり。

 その点、コペンは乗り込んでしまえば意外と広いし、ビルシュタインではない標準モデルなら乗り心地もまずまず。トランクが思ったよりも広いのもポイント高い。

 登場からずっと一定の台数が安定して売れていて、このところ月販台数でたびたびS660を上回っているのは、そのあたりがウケているからにほかならない。さらには、このほどクーペが限定販売されることも明らかになったばかり。気になる人はお早めに。

■コンパクトカー 普通のグレード/デミオ スポーツモデル/スイフトスポーツ

■コンパクトカー 乗り心地ナンバー1/デミオ

ドライバーの操作にエンジンが連動してGを滑らかにし、意のままの操縦感覚と乗り心地のよさを実現した G-ベクタリングコントロール

 コンパクトカークラスは、執筆時点においてデミオとフィットを超えるクルマはないと思う。ただし、もともとよかったわけではなく、どちらも出た当初はあまり褒められたものではなかったが、時間がたって何度か改良を経た今なら大丈夫になったという感じ。

 特にフィットは、もとがドタバタだったのに、今ではかなり快適で上質な乗り味になった。直進安定性もぜんぜん違う。

 デミオもガソリンはまだしもディーゼルは重さを嫌ってかフロントが突っ張っていて、その影響でリアがバタつく印象が強かったところ、ずいぶんよくなった。

 そんな両車の中でどちらかをしいて選ぶとしたら、デミオだ。ポイントは独自のG-ベクタリングコントロールの効果で、コーナリング時に身体が横に持っていかれる感覚が小さいこと。そこを評価したいと思う。

■スポーツモデル 乗り心地ナンバー1/スイフトスポーツ

乗り心地とスポーティなハンドリングを巧く両立させているスイフトスポーツ

 スポーツモデルについて、GR系やNISMO系は走りはよいが乗り心地はやや硬め。乗り心地においてはスイフトスポーツだろう。

 ワイドトレッドでモンローの与えられたシャシーにより、ハンドリングだけでなく乗り心地も標準のスイフトよりもずっとよいくらいだ。

■ミニバン 普通のグレード/アルファード&ヴェルファイア スポーツモデル/セレナAUTECH

■普通のグレード 乗り心地ナンバー1/アルファード&ヴェルファイア

やはりアルファード&ヴェルファイアの乗り心地が一番いいという評価だが、マイナーチェンジ前のモデルはイマイチで、別のモデルを選んでいたとか

 これまで改良を経てきた車種が多いがゆえに、現行のラインアップならどれを選んでも大きな不満はなくなっている。今はまさにそういうタイミングだ。

 トヨタのMクラスの三兄弟をはじめ、マイナーチェンジで追加されたハイブリッドが特によくできているステップワゴン、機構的には従来をキャリーオーバーして大幅に手を加えたセレナや、さらにはアブソルート(だいぶよくなったがまだ硬さを感じる)を除くオデッセイ、フリードやシエンタ(改良後は未試乗)もしかり。新しいデリカD:5もプロトタイプに乗った限りでは相当に期待できそうだ。

 そんななかで、どれが一番かというと、高いから当たり前といわれそうだが、アルファード/ヴェルファイアだ。とにかく快適であることこの上なし。あまりによくできているので、それを伝えたくて、あえて挙げることにした。

 ちなみに現行初期型は高いわりに気になる点が多々あって、あまりよくなかった。もしマイナーチェンジ前にこの企画があったら、別のクルマを選んでいたのは確実だ。

■スポーツモデル ナンバー1/セレナAUTECH

17インチにインチアップしたタイヤ、サスペンションチューニングおよびボディ補強などにより優れた高速安定性と上質な乗り心地を両立

 一方、スポーツモデルでは、各社の狙いが見てとれて、GRはスポーティな走り優先。セレナのNISMOとAUTECHは乗り心地優先。

 ホンダのモデューロXは走りと乗り心地のバランスの最適解を探ったという印象で、乗り心地としてはセレナのどちらか。

 実はサスペンションのチューニングはNISMOとAUTECHで共通なのだが、OEM装着されるタイヤ銘柄が違って、お互いの性格に相応しい乗り味となっているのだが、乗り心地としてはAUTECHのほうが上だ。

■SUV 普通のグレード/ハリアー スポーツモデル/アウトランダーPHEV Sエディション

■普通のグレード 乗り心地ナンバー1/ハリアー

乗り心地のSUVが多いなかで、岡本氏が普通のグレードのナンバー1に選んだハリアー

 ハッチバック車のプラスアルファのようなクルマから本格的オフローダーまで、SUVにもいろいろあるわけだが、やっぱり乗り心地として基本的なパッケージング面で不利なクルマはところどころそれが顔を出すものだ。

 大径タイヤにより、バネ下が重いのはもちろん、重心高が高いと動きが不安定になるのを抑える必要があって、いずれも乗り心地は悪化する。

 なので、乗用車に近い感じのクルマのほうが乗り心地としては有利であることには違いなく、C-HRやレクサスUXあたりは新世代のプラットフォームを得たことも効いて乗り心地も走りも非常によい。

 傾向として、ヴェゼルやCX-3、エクリプスクロスなど比較的小柄な車種はキビキビした走りを追求していて乗り心地が硬めであることが多い。

 一方、もう少し上のクラスだと、ハリアー、エクストレイル、CX-8、CR-V、アウトランダーあたりや、数少ないオフローダー系などいずれもなかなかよくて、どれに乗っても奥さんや彼女から文句が出ることはないと思う。

 そのなかでどれがベストかというと難しいところだが、乗り心地に限っては、意外や意外、ハリアーではないかと。ハリアーは極めてそつがなくて、何も気になるところがないのがエライ。

■スポーツモデル 乗り心地ナンバー1/アウトランダーPHEV Sエディション

ビルシュタインダンパーを装着したスポーツグレードのアウトランダーPHEV Sエディション。2018年8月のマイナーチェンジでPHEVの主要構成部品の約9割に手を入れたという

 スポーツモデルでは、ハリアーGRスポーツやジュークのNISMO系はちょっと硬め。そんななか、アウトランダーPHEVのSエディションがあまりに完成度が高くてビックリした。

 直近の改良前とビルシュタインのセッティングに変更はないそうで、改良前は硬さを感じたものだが、改良によりボディ剛性が大幅に向上したことが効いてか、ハンドリングだけでなく乗り心地も格段によくなっている。

■セダン 普通のグレード/アテンザセダン スポーツグレード/マークX GRスポーツ

■普通のグレード 乗り心地ナンバー1/アテンザセダン

岡本氏はレクサスESとアテンザセダンの2台と迷ったが、最終的にはアテンザセダンがこのカテゴリーで乗り心地ナンバー1になった

 セダンもピンキリあって、実はセダン不振といわれながらも車種はけっこう豊富にあるのだが、まずセンチュリーは省くとして、レクサスLSも現行型はいまのところ評価できず。

 また、日産とホンダの中~上級セダンの多くが走りはさておきティアナを除いて乗り心地は硬め。一方で、小柄なほうのセダンもホンダのグレイスを除いてトヨタのプレミオ/アリオンやカローラアクシオや日産シルフィあたりもいろいろな理由で乗り心地はいまひとつ。

 マツダとスバルのセダンはまずまず……という感じのなかで、乗り心地がよいと積極的にいえるのは、レクサスESとアテンザだ。

 レクサスESは、Fスポーツは引き締まった味付けだが、新技術のスウィングバルブショックアブソーバーが与えられるバージョンLが非常によい。

 一方のアテンザも、路面からの入力の受け止め方が非常に巧みで、専用タイヤも効いて路面への当たりもマイルドである上、シートも進化してクッション性が増すなどして乗り心地が非常によくなっている。フルモデルチェンジ並みの改良で得たものは大きかった。甲乙つけがたいのだが、この価格帯でここまでやったアテンザとしたい。

■スポーツモデル 乗り心地ナンバー1/マークX GRスポーツ

スポット打点の追加によりボディ剛性を高めた上で、GR専用のフロントサスペンションメンバーブレース、センターブレース、リアブレースなどのブレースを適所に追加。ボディの前後バランス、全体剛性の最適化を図り、高次元で高い応答性を発揮する高剛性ボディに仕上げている

 スポーティモデルは該当する車種自体が希少。WRX系は乗り心地が硬めなので、そうなるとマークX GRスポーツだろう。

 スポット溶接打点とブレース(補強材)の追加によって、全体の剛性が大きく向上しており、専用チューニングのサスペンションと相まって、スポーティなハンドリングとフラットな乗り心地を兼ね備えている。

 ところで、新型クラウンは? と思った人もいることだろう。RSはさておいて、標準系を乗り心地のいいクルマに挙げなかったのは気になるところがあったからだ。

 一見、当たりがソフトで乗り心地がよく感じるし、実際、市街地だけ大人しく乗っている分にはあまり問題はない。

 ところがちょっとペースを上げると、フワフワと不規則な揺れが出はじめて、高速道路を巡行していると酔ってしまいそうな感じ。アンジュレーションでは姿勢が大きく乱れて、フラットライドとはほど遠い。

 それでいて大きめのギャップを通過するとガツンと強めの衝撃が伝わる。ソフトテイストの足回りは一見ストロークも十分ありそうな気がするが、実はそうでもなくて、ストロークのないなかでなんとか努力してストローク”感”を出そうとした結果、こんなふうになっているような気がする。

 現状、やわらかく感じる領域をもう少し引き締めて反対に硬く感じる領域をソフトにしてくれたほうがちょうどよくなるのかなと。

 今のトヨタ車、レクサス車は、FF系は世界的にもかなりいいところまできているけど、FR系はまだまだ改善の余地がある気がする。

■スポーツカー 普通のグレード/レクサスRC スポーツモデル/シビックタイプR

■普通のグレード 乗り心地ナンバー1/レクサスRC

2018年10月31日に行われたマイナーチェンジでLC風にフェイスリフトされたレクサスRC

 2シーターは省くとなると、NSX、Z、ロードスターは割愛。車種自体がかなり限られて、しかも値段がピンキリなわけだが、奥さんや彼女が喜ぶ乗り心地というと、レクサスRCだろう。

 実は最近改良を実施したレクサスLCには未試乗で、もし登場当初にLCで感じた硬さが払拭されているのなら、乗員を包み込む空間の仕立ての素晴らしさもあってLCをベストとしたいのだが、筆者が確認できているなかではRCだ。

 GT-Rは快適になったといってもそれなりに足回りが締め上げられているし、小回りするとデフが回転差を吸収できずガクガクするので、奥さんや彼女が驚きそうなところがちょっと気になる。

 そのほか、86/BRZも最新世代なら快適性もまずまずで、あまり文句は出ないものと思われる。

■スポーツモデル 乗り心地ナンバー1/シビックタイプR

ZF/SACHSのCDC(電子制御減衰力連続可変ダンパー)が装着されているシビックタイプR。FFで最も速く、最も乗り心地がいいクルマだ

 そして、スポーツカーのスポーツモデル=究極のスポーツモデルとして該当する車種は、86のGR系とGT-RのNISMOとシビックタイプRぐらいだと思うが、乗り心地において秀逸なのはシビックタイプRだ。

 ニュルブルクリンクのFF最速の座(FF最速の7分43秒80を達成)を目指すと、荒れた路面でもしっかり追従させることが重要で、そのために用意したという電子制御ダンパーも効いてか、引き締まったなかでもしなやかさに動いて結果的に乗り心地もよくなっている。

 スポーツカー好きのお父さんが満足できる走りの楽しさと、奥さん、彼女、子供から文句の出ない快適な乗り心地を持ち合わせている究極のクルマは、シビックタイプRではないだろうか。

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