■スマホ時代の到来でその形態は一変する
スマートフォンが一般的になると、デジタル発行という考え方が出始め、従来は紙に印刷していた券面をスマホの画面に表示し、それを提示するだけで乗車できるシステムが誕生した。こちらは改札機がなく運転士が目視で確認するので、現金やICカードと同様な使い勝手でバスの方が親和性があった。
スクショで偽造されないためにアニメーションや、リアルタイムで有効期間が減算する時計を表示させ、その動きでスクショなのかアプリの正規画面なのかを見分ける手法等が導入された。
これらは定期券にも応用され、定期券売り場に行かなくても、申込書を書かなくてもオンラインで定期券が発行でき、決済もオンラインで行われる。
■そして時代はQRコードへ!!
航空の世界でも以前は紙に磁気テープを埋め込んだボーディングパスが主流だったが、現在ではQRコードだ。これで搭乗券の紙をあらかじめ作らなくてもよくなり、磁気テープを貼る必要がないことからレシートのような感熱記録紙のロール紙に発行できるようになった。
さらにオンラインチェックインでスマホの画面上のQRコードをかざせばカウンターに行く必要すらない。
こうした最初の設備投資は必要ながら、基本はQRコードの読み取り装置と有効性を問い合わせる通信機器があればいいので、スペースの限られたバスには都合がよい。やろうと思えばスマホ端末だけで完結するシステムだ。
■ついに鉄道で実証実験が始まる!
JR九州と⻄日本鉄道(西鉄)は、トヨタファイナンシャルサービスが提供する「my route」で発売するデジタルチケットの一部をQRコード化し、一部の駅に新たに設置する日本信号が開発したQRコードリーダー端末にかざすことで改札できる実証実験を開始している。
本実証実験は、国土交通省が推進する「令和4年度 日本版 MaaS 推進・支援事業」により採択された「九州における広域 MaaS 推進事業(仮称)」におけるデジタルチケットQRコード判定によるUI向上と利⽤データ収集の取組みの一つとして実施するものだ。
すでに宮崎地区においてデジタルチケットQRコード判定を活⽤した実証実験を⾏っていたが、今回3社の協⼒で福岡・⻑崎地区に実証実験のエリアを拡⼤する。
これまでは、モバイル端末のデジタルチケット画面を見せて有人改札で係員の目視による改札を⾏っていたが、これによりデジタルチケットのQRコード画面をそのままリーダー端末にかざすだけで、スムーズに改札を通過することが可能になる。
■アプリはすでにバスで利用されている
この「my route」アプリは西鉄バスの北九州市内や福岡市内の24時間券等にすでに導入済みで、デジタル券を購入した券面(スマホの画面)を運転士に見せて整理券を運賃箱に投入し降車する。
IC乗車券が普及した現代でもこうした技術が活用されるのは、発行側には乗車券類を印刷しまたはICカードを製作する必要がなく、発売のためのオンラインページを作れば済むメリットがある。
また実際に発行するのはデータのみなので、多くの種類の企画乗車券を発売できるメリットがあり、改札係員やバス運転士は券面有効性の確認のほとんどを通信機器に頼ることができる。
一方、利用者としても売り場まで行かなくても手元のスマホで決済から発行までが完了し、リーダーにかざすだけという手軽さも利用頻度が高まる要因となるのだろう。バスにこそ必要なシステムだと思われるので、ぜひとも普及して多彩な企画乗車券を発売してバス旅をしやすく楽しくしてほしいものである。
【画像ギャラリー】紙から磁気やICを経てQRコードへ(2枚)画像ギャラリー