2018年の車名別年間販売ランキングを獲得したノートだが、その大躍進の原動力となったのはいうまでもなくe-POWER人気。キャッチコピーの「ひと踏み惚れ」というのは言い得て妙で、試乗した多くのユーザーがその新鮮なドライバビリティに魅せられた。 その結果が年間販売ランキングトップに結びついたというわけだ。
そんなノートe‐POWERに代表される日産電動車両軍団を雪道で試すというのが今回のメインテーマ。札幌郊外の公道と特設氷上コースで日産の最新モデルを、モータージャーナリストの鈴木直也氏が徹底チェック!
文/鈴木直也
写真/日産自動車 ベストカーWEB編集部
■ノートe-POWERのワンペダルは雪道でも通用するのか?
まず注目されるのは、あの「ひと踏み惚れ」のワンペダルドライビングが、滑りやすい雪道でどんな走りを見せるのか。ノート e‐POWERのなかでもっともスポーティなNISMO S仕様を選んで、札幌郊外の一般路にそろりと足を踏み出してみる。
ご存知のとおり、ノートe‐POWER NISMO Sの心臓部には、セレナe-POWER用に強化したエンジン/モーター/パワーコントローラーが移植されている。
その結果、モーターは100ps/320Nm とノーマルより25%もパワーアップ。特に320Nmというトルクはガソリンエンジンなら3L、V6級だ。そんなクルマを雪の上に 持っていったら相当なじゃじゃ馬になるんじゃないか? そう思うのが普通だろう。
その点は日産もわかっているから、ノートe‐POWER NISMO Sには2つのドライブモードが追加された。
標準ノートe‐POWERではシフトポジションBレンジはノーマルモード専用で、SモードやECOモードを選択中はBレンジ に入らなかった。
対して、NISMO SではBレンジのSモードをレスポンス重視のスポーツ走行用、BレンジのECOはコントロール性重視の低μ路面向けに設定。より幅広いシチュエーションで 「ひと踏み惚れ」が堪能できるように工夫されている。
滑りやすい路面は安全第一で。というわけで、最初はBレンジのECOモードを選択して走り出す。
第一印象は「うーんマイルド」とでも申しましょうか。以前ドライの舗装路で乗ったノートe‐POWER NISMO Sは、標準仕様とは段違いのトルクで「おお、まさにホットハッチ!」だったと記憶しているが、BレンジのECOモードだとぜんぜん別物といっていい。
わざとラフにアクセルを操作しても、ほぼ何もなかったかのように雪面をグリップしてスムーズに加速するし、いきなりアクセル オフしても違和感なく滑らかに減速回生ブレーキが働いてスピードが落ちてゆく。
普通のエンジン車だと、たとえ燃費重視のECOモードでも無茶踏みすれば一瞬グリップを失うし、そこからトラクションコント ロールが介入してタイヤがグリップを回復するにしても、滑る→止まる→滑る→止まるというサイクルが発生する。
ところが、ノートe‐POWER NISMO SのECOモードでは、滑る前にトルクを制限する制御が働き、タイヤがズルっとくる領域に踏み込まない。言い換えれば、マイルドなトラクションコントロー ルが働いている状態を違和感なく維持しているということ。この辺の制御の巧みさは、まさに電動パワートレーンならではのものがある。
ナルホドと感心しつつ、今度は対極のSモードを試してみる。
デビュー直後に舗装路で試乗したときのトルク感が強烈だったから、今度もまた慎重にアクセルを開けていったのだが…。アレ? 予想に反して意外になほど大人しいじゃありませんか。
「そうそう、VDCを切らなきゃ」と気づいてオフにしてみても、加速した瞬間にちょっと滑るものの、やっぱり舗装路で感じた じゃじゃ馬感とはだいぶ違う。
そういえば、以前ワインディングを攻めたときも、早めのパワーオンでアンダーステアは強まるものの、フロントが際限なく逃げ てゆくような状態にはならなかった。
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