■ワンペダル走行の「ひと踏み惚れ」は健在だった!
つまり、誰もがコントロールできる安全で扱いやすい特性が優先で、それは雪道でもどんなモードで も共通。そのために、ノートe‐POWER NISMO Sのパワートレーンは、SモードVDCオフで無理やり滑らそうとしても路面を判断して「本当の実力」を出さないよう躾けられてるってことなのだ。
たしかに、雪道で320Nmのトルクをフルに解放したら、たぶん前輪が空転するばかりでぜんぜん前へ進まない。お釈迦様の掌 から飛び出せない孫悟空みたいでちょっとクヤシイけど、安全を優先したクルマ作りとしては、これが正解なのでしょうね。
電動パワートレーンの制御の巧みさに感心しつつ、きれいな圧雪の農道や雪が解けかかった国道などさまざまな路面を走り回ったのだが、パワートレーン以外で感心したのはボディ骨格がシッカリしていることと、固めながら乗り心地のクォリティが高いこと。同乗の編集O君も「下手な欧州車超えてますね!」といたく感心の体だった。
それもそのはず、ノートe‐POWER NISMO Sは専用サスのほかに、フロア下に6カ所ものブレースを追加するなど、シャシー作りも本格派。きちんと手間とコストをかければいいクルマができるという良いお手本となっている。
というわけで、雪道では味付けがマイルドになるだけで「ひと踏み惚れ」は健在。低μ路でもノートe‐POWERの電動パワートレーンは大いに魅力的というのが結論でした。
■ノートe-POWER 4WDの走りは2WDと比べて段違い?
大ヒット中のノートe-POWERに4WD仕様が追加されたのは夏の盛りの2018年7月。今回ようやく雪の上で試す機会が訪れた。
ノートe-POWER 4WDが後輪を駆動するシステムは日産お得意のモーターアシスト方式だ。リアモーターは3.5kW/15Nmというミニマムなスペックで、その働きは20km/h程度で終了。口の悪い人は「なんちゃって4WD」とか「発進補助装置」なんて言ったりもする。
もちろん、3.5kWでは多くを期待できないのは事実だが、この方式は「ミニマムな重量、スペース、コストで雪道で実用になる4WDを造る」のが開発コンセプト。雪国ではまさに「発進補助」がもっとも重要な機能で、そこに徹したシステムなのだ。
今回ノートe-POWER 4WDを試したのは氷上コースだったが、こういう極端に滑りやすい路面では、たとえ3.5kWでも2WDと4WDでは大違い。
2WDでグリップを失ったら、ちょっとしたワダチや勾配で発進不能となるが、4WDならそこをスルリと脱出できる。そういうジワジワ動き出したい状況では、微低速トルクをコントロールしやすいe-POWERの電動パワートレインが乗りやすかった。
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