■セレナe-POWERは雪上でも「極上」の乗り心地
セレナe-POWERでは一般公道へ向けて走り出す。裏道はわりとキレイな圧雪路、国道は雪が融けてビシャビシャといった路面コンディションのなかでの試乗となった。
発進初期のグイッとくる力強さがe-POWERの持ち味だが、この基本特性は雪道でも健在。もちろん、路面によってはグイッとくる前に滑るケースもあるのだが、アクセルを無造作に踏んでも挙動が乱れる気配がない。
そういう滑りやすい路面ではVDCが機能してスリップを抑制するのはエンジン車と同じだが、特性がリニアだから制御が介入する手前を上手にキープしている印象。アクセルを戻したときの回生減速も、路面状況に合わせてきちんとコントロールされている安心感がある。
シャシーも予想以上にしっかりしている。雪道はグラベルなみに路面が凸凹しているものだが、剛性面で不利なミニバンとしては乗り心地も上々。ボディがガタつかず質感が高い。運転席下にマウントされたバッテリーが車体剛性面でも有利に働いているものと思われる。
それにしても、セレナe-POWERは1.2Lのエンジンで1750kgの車体を動かしているんだから大したもの。エンジンで直接タイヤを駆動していては、こんなドライバビリティは実現不能だが、エネルギーをいったん電気に変換することでソレが可能となる。個人的には電動化で一番「化けた」のがセレナe-POWERだと思います。
■リーフ、リーフNISMOの雪上性能
ピュアEVにとって寒い場所はあんまり得意じゃない。化学反応でエネルギーを生み出すバッテリーは気温が低いと能力が低下するし、エンジン車みたいな熱源がないから車内の暖房にも貴重な電気を消費する。適材適所という意味では、正直いって雪国にEVは向いていない。
それでも、わざわざ日産がリーフを雪上試乗会に持ってきているのは、不得意な雪道を最新EVはここまで克服しましたよ、というアピール。まさに今、EVは「普通の自動車」になってゆく過程にあるわけだ。
リーフとリーフNISMO(航続距離が伸びたリーフe+の試乗車はなし)は氷上コースでの試乗だったが、極端に滑りやすい路面では電動パワートレーンが実にコントローラブル。
小さなアクセル開度では踏んだだけきちんと反応し、逆にラフなアクセル操作を試みても過剰なトルクをタイヤに伝えない。おそらく、初心者にとっては普通のエンジン車より安心感があって乗りやすい、そう感じるんじゃなかろうか。
氷上で定常円旋回をやってみると、EV特有の繊細な乗り味がよくわかる。リーフはFFだから滑らせて遊ぶ面白さはないが、アクセル操作でアンダーステアを調整しつつ、狙ったラインをトレースするような走りは得意。こういうシチュエーションではVDCがイン側ブレーキを掴んで一生懸命旋回を助けているのもよくわかる。
暖房に電池を消費して航続距離が減るのがツラいが、EVの走りそのものはむしろ雪国でもオススメ。次回は一般道をもっと長距離走ってみたいと思った次第です。
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