「風をきって走る喜び」を車イスレーサーに!カーボンフレーム製陸上競技車KIWAMI

アルミフレームよりも約1000gの軽量化に成功!!

 同社がものづくりの会社ならではの高い技術力を注入したこのKIWAMIの特徴について、同社開発本部生産技術部の安田哲部長に伺うと、「3D測定技術で選手の身体にフィットした専用のシートフレームを採用し、最先端のカーボン設計技術によって高振動減衰カーボンフレームと超軽量カーボンホイールを実現させました」。

 開発の過程で苦労した点については、

「3年前に素材メーカーさんをあたった頃はちょうどボーイングB787がカーボンを使い始めた時期で、帝人さんも東レさんもカーボンを扱った部署をお持ちでしたが、なかなかいいご返事をいただけなかった。そのなかで1年前にようやくカーボン素材を入手することができたんです。

 ところが、私どもは車イスレーサーの開発はなんせ初めてのことでして、カーボンの持つ性能をいかに引き出すか、また製品化にあたってどうやってコストを抑えていくのか、そして振動をいかに吸収していくのか、コーナリングGを想定したフレームの構造解析にたどりつくまでに紆余曲折がありました」(安田部長)。

さらに、

「カーボンを自分たちで貼り合わせて作ったのは初めての試みでしたし、いろいろ手探りの状態でしたね。それに車イスレーサーはただ軽くすれば速くなるワケじゃありません。

 試作モデルもホイールのみですが、実際にホンダR&D太陽所属の佐矢野利明選手らに今年の東京マラソンで使ってもらい、実レースでの実走行データの蓄積を重ねました。操縦安定性と乗り心地を追求し、加速性能とトップスピードを向上させています」とは、同じく開発にあたった同社生産技術部の柴崎博文技術主任の言葉。

 気になるのはカーボンを使ったことで通常の市販アルミタイプとどう違うのかということだが、

 「選手によるとフレームの剛性が高く、バランスのいい走りができるそうです。また、ホイールもこぎ出しの時の転がり方が軽く、スタートで差が出るとのことでした」(安田部長)。

 今年の東京マラソンに出場した選手の走行。ホイールのみ試作モデルを使用している

 同社の目標は、このKIWAMIで’16年リオでのパラリンピック金メダル獲得、そして’20年東京パラリンピックでの表彰台独占だそうだ。夢は大きく膨らんでいきますな。期待しましょう。

 今年秋にはKIWAMIと同じ基本設計で、カーボンとアルミを使った一般向けの廉価なスタンダードモデルを発売する予定だそうで、こちらは詳細が決まり次第BCでも試乗させてもらうことに。こちらも楽しみだ!

 フラッグシップのKIWAMIと同じ設計思想によるスタンダードモデルも今年秋発売。価格はKIWAMIの約4分の1となる約50万円より安くしたいとのこと

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