10年間で激変!! タイヤのパンク なぜ急増?? 背景にある3つの原因とは

10年間で激変!! タイヤのパンク なぜ急増?? 背景にある3つの原因とは

 タイヤのパンクが激増している。2019年3月8日にJAF(日本自動車連盟)が発表したリリースによると、タイヤトラブルによるロードサービスの出動件数は、2007年度が28万6934件だったのに対し、最新の2017年度には39万1799件と36.5%も増加。これは過去最多件数で年間40万件も目前に迫っている。

 今や未舗装道路は滅多に見なくなり、タイヤの性能も向上していることを考えると、この結果は驚きである。

 なぜ、いまタイヤのパンクに関わるトラブルが増加しているのか? その背景には3つの原因が考えられる。

 タイヤは、ブレーキと並び車の安全運行に欠かせない最も重要なパーツのひとつ。そこで、いま一度タイヤの点検方法も合わせて確認しておきたい。

文:永田恵一
写真:Adobe Stock、編集部


出動件数は10年で10万件増!! JAFの見解は?

タイヤのパンクに関する出動件数の推移。パンク関連の出動が劇的に増えているだけでなく、全体に占める構成比も約3.6割増えている(出典:JAF)

 タイヤのパンクが増加したというニュースとともに、JAFは「1カ月に1回が適正とされているタイヤの点検サイクルだが、約4万6000人にアンケート調査したところ1カ月に1回タイヤを点検している人は3割に満たない1万2716人だった」という調査結果も発表した。

 この調査結果も踏まえ、JAF広報部にパンクが増加している理由の見解を聞いてみたところ、
「タイヤトラブルに対するロードサービスの出動においてその原因は記録しておらず、原因はわかりかねます。ただ、タイヤの点検頻度の不足が原因の1つと考えることはできるでしょう」

という回答だった。

 この回答も踏まえて、タイヤのパンクに起因するトラブルが増加している背景には、主に3つの原因があると筆者は考える。

タイヤに対する関心低下もパンク増加の一因に

レベルゲージを使った空気圧チェックの様子。特に運転中は、かなり空気圧が低下していないとその状態に気づかないといわれる。それだけに定期的な空気圧の確認はパンク予防に大きな意味を持つ

【1】点検不足も含めたタイヤに対する関心の低下

 昨今は、各種メンテナンスの指定サイクルの長期化や車がさほど知識なく使える道具になったという背景もあり、車に対する関心の薄れが、パンクの増加を招いた最大の原因ではないだろうか。

 タイヤの点検項目としては「空気圧」、「残り溝」、「ひび割れ」、「キズ」といったものが挙げられる。空気圧以外の3つに関しては、JAFが適正と謳う「1カ月に1度」の点検でも良いが、空気圧だけはできるだけマメに、理想を言えば車に乗るたび出発前に点検しておきたい。

 空気圧はエアゲージを1つ持ち、その車の指定値を基準にキープされているかを確認したいが、これを車に乗る都度確認するのは煩わしいことも事実。

 そのため最低限の点検として、タイヤが空気圧不足でいつもより潰れていないか目視で確認、タイヤを軽く蹴って空気圧が不足していないか確認する等でも、何も点検しないよりはずっといいだろう。

 空気圧が減っている場合、ガソリンスタンドで充填するのもいいが、給油の時期でなかったり、給油のいらない電気自動車では、日常的にガソリンスタンドに立ち寄らない場合もある。そんな時に役に立つのが電動空気入れだ。

 電動空気入れは、パンク修理キットが標準装備の車なら12Vソケットで使えるものが付属されており、付いていない車でもネット通販なら3000円程度で買えるものも多く出回っているので、1つ持っていると便利。

 また、空気圧以外の点検に関しては、「残り溝」はスリップサイン(タイヤ側面の三角マークをトレッド面に延長したところにある)が出る残り1.6mmが使用限界だ。

 タイヤの残り溝が減ってくると、ドライ路面でもコーナリングとブレーキ性能の低下、ウェット路面ではタイヤと路面が接地せず浮き上がったような挙動になるハイドロプレーン現象の原因になるので、ほどほどのところで交換したい。

 なお、タイヤの残り溝は摩耗計(1000円以下で買えるものも多い)で確認するのがベストだが、10円硬貨を使うという手もある。

 10円硬貨の縁から常盤木の模様の外側までは約2mmなので、タイヤの溝に10円硬貨を入れて常盤木の模様が隠れないようだとそろそろ使用限界という判断ができる。

 また、タイヤは編摩耗していることもあるので見やすい外側だけでなく、前輪であればハンドルを切って内側も見ておきたい。

 新品から時間の経ったタイヤのひび割れがパンクの原因となることもある。ひび割れがあまりにひどい時は交換を考えた方がいいだろう。ちなみに、タイヤの製造時期は側面に「2018年20週」であれば“2018”という形で表記されているので、製造から5年以上経ったタイヤなら残り溝があっても交換を考え始めた方がいい。

 キズはトレッド面に釘やネジといった異物が刺さるのに加え、パーキングメーターなどで路肩に寄せた際に誤って付けてしまうことがある側面のキズも危ない。キズのあるタイヤは早急に交換した方が無難だ。

次ページは : タイヤのトレンド変化もパンクの遠因に

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