2022年4月~2023年3月(22年度/令和4年度)の大中型トラック新車販売台数(輸入車含む)は、前年比マイナス33.3%の5万5862台で、21年度を大幅に下回った。しかし、下期から前年下期実績を上回るメーカーが相次いでおり、本年度での回復が期待される。
文・作図/トラックマガジン「フルロード」編集部
下期から新車登録上向く
日本自動車販売協会連合会(自販連)が公表している新車登録統計によると、最大積載量3トン以上の貨物自動車のうち、その約4割を占める大型トラックの主力クラス「積載量12トン超車」(トラクタを含む)は、2万4359台・対前年比マイナス28.6%だった。
積載量12トン超クラスでは、上期(4~9月)がマイナス38.3%の1万1172台、下期(10~3月)がマイナス18.6%の1万3187台で、いずれもマイナスだが、減少幅は大きく縮小している。
これは、いすゞ自動車(上期マイナス26.7%→下期プラス26.4%)、三菱ふそうトラック・バス(上期マイナス24.6%→下期プラス17.6%)、UDトラックス(上期プラス7.2%→下期プラス8.7%)、輸入車(ボルボ、スカニアなど・上期プラス13.3%→下期プラス30.5%)と、各社の実績が上向いているためだ。
いっぽう、日野自動車では積載量12トン超クラス車の生産・出荷を停止したことから、上期マイナス82.3%→下期マイナス98.9%となり、その影響から全体の実績も減少となった。
日野は今年2月から、積載量12トン超クラスの主力となる「プロフィア」8.9リッターエンジン搭載車の生産・出荷を再開している。しかし、完成したシャシーの出荷後にさらに荷台・特装の架装が伴うため、新規登録までになお時間が必要で、22年度下期の実績には寄与していない。
半導体の調達はいまだ不安定
新車販売が上向いているのは、昨秋から自動車向け半導体の調達状況が改善したためといわれている。だが、今後の見通しについては依然として不透明で、自動車メーカーからすると「まだ不安定」という。
代替需要が先延ばしになっていること、また前述のとおり日野車の供給も再開していることから、23年度の新車登録実績がV字回復する可能性は高いとみられるが、しばらくはまだ半導体に振り回されるのかもしれない。
なお、日野大中型トラックで現在も生産・出荷を停止しているモデルは、「プロフィア」12.8リッターエンジン搭載車と、中型トラック「レンジャー」の190~210馬力(5.1リッターエンジン+HC-SCR搭載)車である。
日野が4月末に開催した報道関係者向けオンライン会見(3月期決算)では、これらのモデルは現在「劣化耐久試験」を実施中で、「型式指定の再申請」は少なくとも今秋以降となることが明らかになっている。もちろん、国交省による裁可はさらにその後であり、本年度内に生産・出荷が再開できるかどうかは不明である。