■SUVブームと独特のフォルムが底上げ
では、現行型ジムニーはなぜこれほどまでに成功したのか。
冒頭の首都圏アリーナ店の営業担当者によると、
「もちろん根底には根強いファンと、そのファンの期待に真正面から応えるスズキのブレない姿勢があります。20年待ち続けての新型登場ということで、待っていたお客さんが殺到しているということもあるでしょう。ただそのうえで考えてもこの売れ行きは異常で、その要因としてはまず昨今のSUVブームが後押ししていることが上げられます。それにデザイン。前モデルは丸みを持たせたエクステリアデザインに仕立てたのが一部のユーザーから不評でした。このため現行モデルは、その前の好評だった直線基調の各張ったボディシェルに戻したことで成功したのではないでしょうか」
という。
この角ばったデザインはトヨタのランドクルーザーや輸入車のジープなど上級のラフロード4WD車にも採用され、最近やはり人気があがり、いずれも納車待ちが長期化している状況にある。
さらにいえばジムニー独自のラダーフレーム構造の継承でラフロード走破性のよさをさらに磨きをかけている。
このラダーフレームはジープタイプSUVによく採用されている構造であり、軽自動車やスモール4WD車ではジムニーシリーズだけ。
どこかのメーカーがこれを真似ようと思っても、モノコック構造の多い他社では無理で、わざわざコストをかけて開発するには、マーケットの規模からいっても難しく、これがジムニーシリーズが独占を続けられるバックグラウンドにもなっている。
■話題の派生モデルのためにも気になる解消具合
さて、ジムニーといえば登場当初から「派生モデル」にも注目が集まっている。今年の東京オートサロンに出品されたピックアップ仕様や、開発が噂されている5ドア仕様の存在だ。
しかしスズキ関係者に取材しても、販売店関係者から話を聞いても、一様に「仮にそういうモデルがあったとしても、こんなに納車待ちが長くてお客さんをお待たせしている状況では、発売できるわけがない」と語る。
確かにそのとおりだ。ではこの納車待ちが落ち着くのはいつになるのか。
スズキは4月以降さらに50%以上の増産を予定している。受注ピッチは昨年秋時点に比べると多少鎮静化の気配もある。増産できる規模と海外を含めたニーズの行方との兼ね合いでどうなるか決まってきそうだ。
いずれにせよ今年7月にデビューから1年が経過するので、このあたりで鎮静化の見通しがついてきそうな情勢になっている。
コメント
コメントの使い方