首都圏大動脈が2週間通行止め!! 令和の大改修「大師橋」架け替えはいったいどうなるの?【清水草一の道路ニュース】

■「一括架設」とはいったいどんな方法か?

 ところで、今回の高速大師橋の架け替えだが、なぜ通行止めにする必要があるのだろう。同じ1号羽田線の東品川付近の造り直しに関しては、隣接地に迂回路を建設することで、通行止めを回避したが、今回それは不可能だったのか。

「迂回路の構築には用地買収が必要となることや、多摩川右岸部の生態系保持空間内に迂回路の一部が影響すること、それに加えて、本事業は更新延長が比較的短く(大師橋:約300m、東品川:約1.9km)、短期間での一括架設が可能なこと等から、一括架設としています」(首都高速道路株式会社)

 今回の架け替えは、まず現在の橋に沿って新しい橋脚を建設し、続いて現在の橋の下流側に新しい橋げたを組み立てて準備。そして5月27日から、現在の橋を取り外して上流側に移動させ、下流側にある新しい橋を移動して取り付ける。

提供:首都高速道路
提供:首都高速道路

 戦艦大和より長い300mの橋桁の撤去・架設に2週間というのは、非常に短期間だ。それを実現するため、3つの工夫がなされた。ひとつは、橋桁のスライドによる一括架け替えだ。

 川の流れを妨げない方向に移動用レールを設置し、まず現在の橋を取り外してスライドさせる。新しい橋は、周辺の建物に当たらない位置で組み立てられているので、レールに対して斜め方向にスライドする必要があるが、2方向のジャッキをリアルタイムに集中管理することで、迅速かつ正確な一括架け替えを実現する予定だ。

 ふたつ目は、あらかじめ新しい橋をほぼ完成させておくこと。架け替え前に、可能な限り照明柱や高欄、舗装などを取り付けておいて、通行止め期間を短縮する。

 最後は天候対策だ。防雨設備を設置することで、雨天では作業が困難な溶接作業や防水工事などを予定通り実施できるよう、環境を整備している。

 ちなみに、この工事の契約額は約200億円。一般的な高速道路(盛り土)なら、数km分建設できる金額だが、わずか300mの架け替えに、これだけの巨費が必要だった。

 高速道路は、新規に建設するよりも、造り直すほうがはるかにお金がかかる。増大する一方の維持費をまかなうために、高速道路の実質永久有料化方針がすでに決定されているが、そうでもしなければ、老朽化とともに廃止するしかない。

 今回の高速大師橋のような重要路線の場合、廃止という選択肢はありえないが、地方の利用頻度の低い橋(一般道)は、架け替える必要があるかどうか、すでにトリアージ(振り分け)が始まっている。それが、世界最速で老人国となった日本の運命なのである。

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