2024年12月7日(土)、京都・東本願寺門前広場(通称「お東さん広場」)にて実施された「京都モビリティ会議」。地方自治体と自動車メーカー、若者とメディアが次世代モビリティ社会について語り合ったこのイベントでは、各出展者によるトークセッションが実施された。本稿では「トヨタ自動車」のセッションの様子をお届けします。水素のオドロキの「機能」って何だろ!?
文:ベストカーWeb編集部、写真:寺田鳥五郎、小林岳夫、ベストカーWeb編集部
■1000万円の燃料電池搭載のクルマを720万円で売る!
※世代モビリティの道筋のひとつ「水素」。さらには「燃料電池」。2代目ミライなどのチーフエンジニア・清水竜太郎さんを迎え、本誌おなじみのジャーナリストの池田直渡さん、西川昇吾さん、ベストカー編集担当取締役・本郷 仁の4名でトークセッション。思わぬ「水素の力」も判明!!
本郷 仁 ベストカー編集担当取締役(以下、本郷)…初代ミライが生まれて10周年だと思いますが……。
清水竜太郎 トヨタZSチーフエンジニア(以下、清水)…はい。ちょうど10年ですね。現行2代目は時代とともに進化させ、ミライの次に、クラウンも生まれ、FCEVが少しずつ広がっているかなと実感します。
本郷…私もそう感じます。こんなこと聞くと怒られそうですけど、ミライは儲からないクルマ……ですか?
清水…正直、ここでは損得は言えないですね(笑)。言えることは、技術進化とともに、コストは以前に比べ大幅に下がっていることですね。
本郷…池田さんが、先ほどから「俺にも喋らせろ」という顔をしていますけど(笑)。
池田直渡 ジャーナリスト(以下、池田)…ミライの燃料電池は128kWですね。その128kW級の燃料電池そのものを普通に買うと1000万円じゃ買えないんですよ。でも、ミライの価格は約720万円から。クルマに搭載されているのに安くなっている!
だから、ミライを充分楽しんだ後、燃料電池で売ったほうが高く売れるかもしれない。悪い冗談ですけど(笑)。
本郷…それはちょっと冗談がすぎますね(笑)!
池田…トヨタのFCEVの開発費はミライ向けだけではないということです。燃料電池をバスに積むなど、燃料電池でビジネスの幅をもたせ、トヨタは社会改革全体でビジネスを成立させていますよね。
■「走る空気清浄機」の役割もあるって知ってましたか!?
本郷…西川さんもトヨタのFCEVに乗ったと思うんですけど、印象はどうでしょうか?
西川昇吾 ジャーナリスト(以下、西川)…ユーザー目線としては水素をエネルギー源として電気で走行するところが重要で、気分的部分も含めてメリット高いですよね。そこがFCEVのアピールポイントで、今後の実用性に繋がっていくんじゃないかと思います。
清水…短い充てん時間でチャージできるのも魅力で、航続距離がガソリン車並みに長いのも利点。おもしろい部分は「空気浄化機能」なんですよ。
本郷…どういうことですか?
清水…FCEVは車外から空気を吸って、その空気で水素と化学反応させて電気を作っている。特殊なフィルターを通して吸いこんで、きれいな空気にして排出。だから、元の空気よりきれいなものを排出。「走る空気清浄機」だなと感じています。
本郷…バスやトラックならより効果が高そうですね!
清水…はい。一般乗用車よりも稼働率が高いそれらがどんどん燃料電池化されると、きれいな空気が排出される。幹線道路も今よりきれいな空気になるでしょう。それこそ、ここ京都のような観光地でFCEVのバスが数多く走ると、街の空気もきれいになり、効果絶大ですね。
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