三菱i-MiEVが窮地に立ちつつしぶとく生き残る事情 先駆者の苦悩??

■しぶとく生き残るi-MiEVには多くの可能性がまだある

 かくして一敗地にまみれた三菱i-MiEVだが、じつはしぶとく生き残っている。

 テスラ以降、ひと山あてこんだEVベンチャーが世界中で雨後の筍のように出現したし、最近では中国のNEV法(EV、PHEVなどを販売台数の一定の割合で売らないとペナルティ)に対応して、VWをはじめとする大メーカーからも続々EVコンセプトカーが発表されている。

i-MiEVの機構を生かしたミニキャブMiEV。ちなみにミニキャブ自体は他社OEMになったが、ミニキャブMiEVだけはかつての三菱ミニキャブがベース

 しかし、それらはすべて「絵に描いた餅」で、果たしてどのくらい売れるのか、そしてどのくらいの採算性があるのか、すべて未知数。

 それどころか、予定している生産台数に対して電池などの調達見込みがついていないなど、まともな商品企画のテイをなしていケースすら少なくない。

 そんな中で10年にわたってきちんと小型EVを売り続けてきたi-MiEVの存在感はむしろ重みを増している。

余談ではあるが2012年にミニキャブトラックにもEVのミニキャブMiEVトラックが設定された。世界初のEV軽トラックだったが、残念ながらラインナップから消えてしまった

 i-MiEVのシティコミュータ志向は、初期の段階では市場を読み誤ったが、10年経ってみると「これからはむしろこっちが有望」と見直されつつある。

 三菱自身もそれを認識していて、進化の過程で東芝製SCiBの10.5kwh電池を搭載した廉価版を出すなど、「安価でお手軽なEV」路線を明確化。

 軽商用車版のミニキャブMiEVを追加するなど、コスパのいいEVラインナップを拡充してる。

 つい先日、日本郵便の集配車としてミニキャブMiEVバン1200台を納入というニュースが流れたが、こういう業務用のクルマとして選ばれるようになったらEVもホンモノ。

日本郵便は配送車としてミニキャブMiEVを正式採用。近隣の配達が多いだけに航続距離よりもランニングコスト低減、そして対外的なエコPRもできるというメリットもある

 つまり、日本郵便は事業の採算性を考えてメリットありと判断したわけで、富裕層のアクセサリーとして売れているEVとは実用車としての重みがぜんぜん違うのだから。

 石の上にも10年。IBM PCに惨敗したアップルがスマホで逆転したみたいに、コスパでi-MiEVが再評価される時代が来るかもしれませんね。

★★★

 そんなi-MiEVも2019年度内にフルモデルチェンジを見込んでいる。

 日産とのアライアンス強化で三菱製EVの開発動向はまだ先行きが見えづらいが、i-MiEVで培ったシティコミュータ型EVの技術蓄積は、きっと新型EVに生かされるはず。

 次期型を楽しみに待っているし、その時こそこのi-MiEVをしぶとく作り続けた三菱に万雷の拍手を送りたい。

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