N-BOXら軽自動車が販売ベスト5独占!! 販売台数の激増の理由と超進化 

新車販売は「減少」でも軽自動車は「増加」

1998年発売の5代目スズキ アルト。同年にはワゴンRやミラ、ムーヴなど様々な軽自動車の新型が一斉に登場。販売の中心もアルトからワゴンR、そしてスペーシアと背の高い車種に徐々にシフト

 そこで軽自動車の変遷と、販売台数の推移を振り返ってみたい。

 1980年の軽自動車の新車販売台数は101万3340台で、新車販売総数(小型/普通車+軽自動車)に占める割合は20%であった。

 それが1990年に軽自動車の規格変更が行われて全長が3300mm、エンジン排気量が660ccまでに拡大されると、販売台数は180万2576台に増加。全体に占める割合も23%に拡大している。

 そして1990年には、国内の新車販売総数が最高潮の778万台に達して、翌年からは減少に転じた。

 1998年には軽自動車の規格が改めて刷新され、今と同じく全長が3400mm、全幅は1480mmの規格枠が成立した。

 この時にはメーカーも新規格対応の準備を周到に進めて、1998年10~11月には、各メーカーから16車種の新型軽自動車がほぼ同時に発売。2000年には軽自動車の新車販売台数は187万4915台になり、新車販売総数に占める割合も31%に達した。

 その後も軽自動車の売れ行きは少し増加して、2018年は192万4124台であった。1990年の180万2576台に比べると107%になる。

 一方、軽自動車を除いた小型/普通車は、1990年が約597万台で2018年は335万台まで減った。2018年の販売台数は、1990年の56%にとどまっている。

 軽自動車はバブル経済が崩壊した後も増え続け、小型/普通車は急落したから、2018年は新車販売総数の36%を軽自動車が占めた。2019年に入ると37~39%で推移している。1980年は20%だったから、軽自動車を取り巻く市場環境は激変した。

なぜ軽自動車激増? 3つの理由と長足の進歩

2年連続で“日本一売れている車”に輝いたN-BOX。全高1790mmのスーパーハイトワゴンで、室内空間も広いほか、基本性能も高い

 ここまで軽自動車が増えた背景には複数の理由が考えられるが、最も大きく影響したのは、背の高い車種を中心に軽自動車の商品力が著しく向上したことだ。

 販売1位のN-BOXを見れば分かるように、外観デザインは視覚的なバランスが良く、内装は上質で、大人4名が快適に乗車できる。後席を畳めば自転車を積める広い荷室になり、収納設備も豊富だ。乗り心地は快適で、走行性能にも不満はない。

 歩行者を検知できる緊急自動ブレーキは今や常識になり、N-BOXやデイズは車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなども備える。機能は1.2~1.5Lエンジンを搭載する小型車と同等か、それ以上に充実した。

 しかも、軽自動車だから昔と同じく小回り性能が優れ、運転がしやすく税金も安い。車を日常生活のツールとして使うユーザーなら、「これで充分」と感じる。

 2つ目の理由は車の価格が全般的に上昇したことだ。安全装備や環境性能が充実したこともあり、車の価格はこの10年ほどの間に大雑把に見て15~20%高まった。以前は200万円で買えた車種が今では230~240万円に達する。

 その一方で平均給与は、1990年代中盤から後半をピークに下がっており、直近で少し持ち直したが20年前の水準には戻っていない。車が値上げされて給与が下がれば、購入する車種のサイズを小さくするしかないだろう。

 3つ目の理由は小型/普通車の商品力が下がり、なおかつ新型車の国内投入も減ったことだ。2008年後半に発生したリーマンショック以降、各メーカーともに国内で販売される車両の開発を大幅にリストラした。

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