後世に残したいニッポンのクルマ文化財~クルマ&装備編

後世に残したいニッポンのクルマ文化財~クルマ&装備編

 日本といえば、2020年に開催される東京五輪招致の際に散々言い尽くされたけど、「おもてなし」の国である。そして、その心は日本車そのものやカーライフ全般にも表われていて、まるで有形、無形の文化財のようなものだ。てなワケで本企画ではそんな後世に残しておきたいニッポンの美しい〝クルマ文化財〟をピックアップしてお届けしよう。

●ロングノーズショートデッキ

 美しいクーペスタイルといえば低く這うようなスタイリングの「ロングノーズショートデッキ」だ。長らく伝統的な2ドアスポーツカーの理想のスタイルとされてきたプロポーションであり、初代フォードマスタングがこのコンセプトを取り入れて大成功を収めた。

 日本車では古くはトヨタ200GT、初代S30フェアレディZ、初代サバンナRX─7ときて初代ソアラ、70&80スープラなどが踏襲していた。基本的にロングノーズは大排気量のマルチシリンダーエンジンの搭載が前提で、短いリアデッキとキャビンの小ささがスポーツカーとしての運動性能の高さを主張するものだったワケだ。

 現在、国産車にはスポーツモデルの絶対数自体が少なくなってきているものの、現行Z34フェアレディZと86/BRZの2台のFRスポーツはかろうじてロングノーズショートデッキを継承しているモデルだといっていいだろう。

 ’80年代後半以降、輸入車でエンジンをミドに積むスポーツモデルを中心にショートノーズが採用されていたが、今後も典型的なロングノーズショートデッキの国産スポーツが引き継がれていくことを熱望!

●ミニバンの微に入り細をうがつ多彩なシートアレンジ

 軽やコンパクトほどではないが、激戦区であるミニバンカテゴリー。それを支えているのはミニバンならではの使い勝手を実現するシートアレンジだ。

 例えば、セレナであれば3列で合計18にも及ぶシートアレンジが用意されている。

 広い室内で8人がゆったり過ごせる「3列ゆったりモード」、シートのクッション性が高く、移動先での仮眠にも便利な「1-2列クッションフラットモード」、26インチのマウンテンバイクが4台積載できる「スーパーカーゴモード1」、右側スライドドアからベビーカーを畳まずに積載可能な「ベビーカー丸ごとモード」などなど、実に多様なニーズにきめ細かく対応していることがよくわかる。

 これぞ、痒いところに手が届く日本のミニバンの真骨頂だ。これからもたゆまぬ進化を続け、ファミリーユーザーの期待に応え続けてほしいもの。

●前席3座シート車

 現行モデルのラインアップからは残念ながら消えてしまったのだが、エディックスやティーノなどかつてはフロントに3人が座れるモデルが存在した。

 エディックスは「3by2」の3席2列の全座席独立タイプのシートを採用していたが、ティーノは前席をベンチシートにして2+1、後席3人の「5+1」をコンセプトにしていた。

 輸入車では2代目フィアットムルティプラがエディックスと同様の2列6人乗りを採用していたものの、やはり前席に3人座れるというのは単純に車内が賑やかになり、楽しさが演出される。万人から好かれるタイプの車種ではないだろうが、個性派のクルマ文化財としてエディックスやティーノの後継車が出てきてほしいものだ。

●4Lつきのハードクロカン

 ジムニーのシフト上にある切り替えスイッチには4WD-Lもあり、登坂路や林道で威力を発揮 

 最近の潮流は都会派のクロスオーバーSUVで、すっかり本格派のクロカン4WDモデルの影が薄くなってきているが、1998年デビューと最古参モデルのジムニーをはじめ、ランクル200にプラド、そしてパジェロとまだまだ日本車にはクロカン4WDが残されている。

 特筆すべきはこうしたモデルが2WDから4WDへの切り替えスイッチを備えているだけでなく、4WDの低速モードを備えていること。例えばジムニーの場合、「2WD」「4WD(高速)」「4WD-L(低速)」の3ボタンがあり、より大きな駆動力を必要とする急な登坂路や林道などの悪路では「4WD-L」を選択することで、優れた走破性を発揮できるというワケだ。

 このメカニズムは最近のクロスオーバーSUVには採用されておらず、ハードクロカン4WDならではの装備といえるだろう。次世代のモデルに継承してもらいたい由緒正しき伝統だ。

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