BMWのパフォーマンスモデルを手掛けるBMW M社が設立50周年を記念して、世界限定50台で「3.0 CSL」を発売。なんとお値段1億3000万円! そんな超ド級マシンを日本で買った凄い人がいるらしい。一体どんな人? そして、どういう経緯で激レアな1台の購入に至ったのか?
文、写真/池之平昌信
■超ド級のBMWが何故か日本に上陸!?
BMWといえば、言わずと知れたドイツ車メーカーだが、メルセデスやポルシェとはちょっと違って、もう少しだけ若者や庶民にも優しいイメージがある。それでいて「駆け抜ける喜び」は無限大。ご機嫌なエンジンで、元気にかっとべるモデルを日本でも常に用意してくれている。
M2、M3(歴代旧型含む)、M4がその代表選手だろう。現代でも超ざっくり言って約1千万円ほどから選べるわけだが、それでいて「腕」次第でポルシェ911などとタイマン張れるかもしれないマシンなのだ。
さてそんな高コスパなはずのBMWで、しかも7シリーズといった超高級サルーンでもなく、電動車系でもなく、i8のようなスーパーカーでもなく…… 純ガソリンMT車が1億3千万円!
そして、それが日本にも納車された! ということで「日本初公開」の現場へ潜入取材敢行。
■超レアマシンをどうやってゲットしたのか?
購入されたのは、ボブ鈴木さん(55歳)。
スタディというBMW専門店を全国7店舗経営されている実業家でありつつ、日本のスーパーGTなどで大活躍している「レーシングチームスタディ」の代表者でもある。
そもそもどういった経緯で今ここにあるのか、インタビューしてみた。
鈴木さんは気さくに応じてくれた。
「このクルマのハナシを聞いたのは2年半も前の事なんです。BMWのM社の50周年を記念して特別限定モデルが出る、ということで。しかも世界限定50台。75万ユーロ(当時のレートでは約1億円か?)だと。それでも迷わずオーダーしました。けど、50台に対して500人の希望者がいたそうです。
そこから様々な審査があったようですねー。私の場合はレース活動もたくさんやってますから、モータースポーツ推薦枠です(笑)。で、無事審査をパスしてようやく横浜港に届いた、というわけです。ナンバー登録はまだこれからなんです。まあそりゃ高価ですけど、価格が下がることもないでしょうから……。
それに一台一台ほぼ手作りみたいなもんなんですよ。軽量化のためのカーボンパーツを多用してますし。バンパー交換なんかしようもんなら500万円コースらしいです。この伝統的なストライプや50番の文字もカッティングシートではなく塗装なんです。だから段差もないんですよね。
まだちょっと場内を移動させただけですがM4より軽さを体感できます。M4にもCSLがありましたがあれは8速ATのみ。こちらは3ペダルMTですから、そのおかげもあってそう感じるのかもしれません。
デザインですか? 車幅が2メートル超えですけど、それがまたたまりませんよね。それに私も『サーキットの狼』世代ですから、劇画中に登場した当時のCSL(隼人ピーターソンが乗っていた)への想いもダブりますよー」
と熱く語る、鈴木さんの眼は実業家でもチーム監督でもなく、少年のように輝いていた。
コメント
コメントの使い方