雪道では乾燥路に比べ、摩擦係数が大幅に低下!!
制動距離も大幅に延びるので注意が必要だ
雪道ドライブでの極意は〝急〟が付かない運転操作。
物理的な側面からみればそのとおりで雪道路面の摩擦係数は乾燥路面の3分の1程度。さらにこれが凍結路面では10分の1程度にまで下がるわけだから当然だ。
ここではそんな雪道でも慌てない運転操作の基本とともに、初心者に多い雪道ドライブにおける勘違いしやすいポイントを整理してみたい。
まずは雪道への準備から。雪道の準備といって真っ先に思い浮かぶのが、「スタッドレスタイヤ? チェーンの準備?」といったクルマ側の準備だが、初心者ドライバーは最初に身なりから考えたい。ここで大切なのは靴。スノーシューズはNGだ。
これは都市部の初心者ドライバーにしっかりと覚えて頂きたいのだけれど、生まれ育った環境から雪道に慣れているならともかく、靴底の厚いスノーシューズでの運転は時として繊細なペダル操作の妨げになってしまう。
冒頭で〝急〟操作はNGとしたが、裏を返せばジワッとした操作が必要だということ。その点、防寒のためモコモコのインナーが敷き詰められたスノーシューズでは足が靴のなかで踊ってしまい、とてもじゃないが繊細な操作には向いていない。運転は慣れた靴で行いスノーシューズは持ち込みで!!
つぎに大切なのは手袋。後述するタイヤチェーンの装着などで外作業の可能性が高くなる雪道では、手先の悴みからステアリングワークやシフト操作に支障をきたすことも。そこで、オススメしたいのが防水性のあるネオプレンという素材を使い、掌側に滑り止め加工が施された手袋だ。機能のわりに安価で、ラゲッジルームからの荷物の出し入れ時にも重宝する。
雪道のカーブは事故多発の要注意スポット
さて、いよいよ雪道ドライブだが、まずは雪道の特性から知っておこう。今回取り上げたのは新潟県の雪道走行時における事故形態を示したものだが、やはりカーブでの事故が多いのが特徴。これを防ぐには、とにもかくにも直線部分でしっかりとスピードを落とす減速操作が肝になる。
また、その時のブレーキングも乾燥路面と同じように踏むのではなく、最初はジワッと踏み込んで減速度合いから路面の状況を把握してから徐々に踏力を強めていこう。
日中であってもカーブ手前が日陰になっている場合は路面が凍結している可能性もあるので、後続車に気をつけながらカーブ手前の直線路で軽めのブレーキングテストを行い、ブレーキの利き具合を確認し予め減速しておく。また、交差点では右直事故にも注意。これは直進側/右折側、両方の場面で意識すべし。
雪道にはスタッドレスタイヤ。
今や常識となりつつあるが、これとて万能ではないことを肝に銘じてほしい。たとえ4WDであってもだ。雪道では側溝が雪で隠れていることも多く、知らずにそこを通ればスタックしてしまう。おおよそタイヤの3分の1が埋まってしまった場合はほぼ自力での脱出は不可能なのでJAFなどに救援を!
幸いにそれよりも浅くなんとか脱出できそうな場合は、前後の安全を確認して、前後に車体を動かすべく、D←→Rレンジ(MTなら2速ギヤと後退ギヤ)を交互にいれながら、少しだけアクセルを踏み込み勢いが付いたところで脱出する。タイヤの前にたまった雪を掻くために小さなスコップがあるとさらにイイ。
スタッドレスタイヤの特性を理解すべし!!
そうそう、スタッドレスタイヤは雪道での力強い味方だが、雪のない単なるウエット路面ではノーマルタイヤよりも状況によってはグリップ力が弱くなる。トレッド面には立派なグルーブがあり排水性は高いが、スタッドレスタイヤのブロックは乾燥路面よりも柔らかな雪道で真価を発揮するように設計されている。
そのため、調子よく走っているとアンダーステアが強くなり、同時にブレーキ性能も低下するので注意が必要だ。
最後にチェーンの装着タイミングだが、これは早いに越したことはない。とはいえ、まったく雪のない自宅からというのはいくら何でも早過ぎ。目安としては雪が本降りになる前で、路面が少しでも白くなりかけたらすでにチェーンの出番と心得よう。「あと少しで目的地だから……」と無精をすると痛い目にあうので充分注意してください。
最後にこれは運転テクニックではないけれど、たとえ遠回りになろうとも、目的地まで除雪のされた大通りを走るのも転ばぬ先の杖。無理せず、快適な雪道ドライブを楽しもう!
(text/西村直人)
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