スバルが捨てマツダが新規採用する6気筒エンジンはそんなにいいのか? 

■スバルがBOXER6をなくした訳

 先代レガシィまで搭載されていたEZ36型水平対向6気筒、3629ccエンジン。260ps/335Nmを発生する。 新たなエンジンラインアップはFA24型 2.4L、水平対向4気筒DOHC直噴ターボとFB25型 2.5 L、水平対向4気筒DOHC直噴 <br>
先代レガシィまで搭載されていたEZ36型水平対向6気筒、3629ccエンジン。260ps/335Nmを発生する。 新たなエンジンラインアップはFA24型 2.4L、水平対向4気筒DOHC直噴ターボとFB25型 2.5 L、水平対向4気筒DOHC直噴
2019年2月のシカゴショーで公開された新型レガシィ。同年4月のニューヨークショーで公開されたアウトバックともに、先代まで用意されていた6気筒エンジンは搭載されない
2019年2月のシカゴショーで公開された新型レガシィ。同年4月のニューヨークショーで公開されたアウトバックともに、先代まで用意されていた6気筒エンジンは搭載されない

 スバルが開発した水平対向6気筒エンジンは、向かい合うピストンがお互いの振動を打ち消し合うので、振動特性としては直6に匹敵するほど優れている。

 しかし、広過ぎるバンク角によってV6のようにコンパクトにはできないし、後述するデメリットなどで、熱効率面では有利とは言えない。

 そのため先頃発表された新型レガシィには6気筒エンジンは搭載されないことになり、同社のラインアップから6気筒エンジンは消滅することになってしまった。

 スバルはトヨタのハイブリッドシステムを利用した独自の縦置きハイブリッドを開発したのだから、アレを6気筒と組み合せることで環境性能を高めて存続して欲しかった気もするが、販売が振るわなければ開発コストを回収できる見込みが少ないということで廃止したのだろう。

 車幅への影響からロングストローク化が難しい水平対向エンジンは、環境性能を追求するには不利な部分もある。

 スバルらしさを残しつつ、時代の要求に対応するのは難しかったのだろうが、残念なことではある。

■V6に代わって直6が復権した背景とは?

 こちらがメルセデスベンツ製M256型の直6エンジン。写真のとおり、ジェネレーターなどの補器類が組み込まれたユニットで、既存のV6から置換されるエンジンとなる
こちらがメルセデスベンツ製M256型の直6エンジン。写真のとおり、ジェネレーターなどの補器類が組み込まれたユニットで、既存のV6から置換されるエンジンとなる

 メルセデスベンツは2017年、M104エンジンの廃止から約20年ぶりに直6エンジンを復活させたことによって、V6に代わって直6エンジンが登場してきたように感じるが、実はそうではなくライトサイジング(ダウンサイジングに変わる排気量適正化)でV8の代わりに直6が使われるようになったというのが真相だ。

 前述の通り、直6は回転フィールの滑らかさでいえばV8をも上回るのである。

 ライトサイジングでも、なぜV6ではなく直6なのかといえば、それは以前に比べ直6エンジンをコンパクトに作れるようになったからだ。

 電動パワステや電動ウォーターポンプにより、補機類をベルトでエンジンが駆動する役目から解かれたことから、全長は短くなり、レイアウトの自由度が高まった。

 衝突安全性に関しても、コンピュータによるシミュレーションなど解析技術により、エンジンの影響を正確に把握できるようになったことも大きい。

 こうなると、軽量化や熱損失を考えればV型よりもシリンダーが1つにまとまっている直列エンジンの方が有利だ。

 さらに可変バルブタイミング機構が必須の今では、DOHCで大きなカムスプロケットを備えるため、V型は重量面で有利とはいえなくなってきた。

 ターボを組み合せるのも常套手段となった今では、V型エンジンではツインターボにしないとレイアウト上難しいから重量面もコストも嵩んでしまう。

 最近はロングストローク化のため相対的にコンロッドが短くなっており、圧縮比も上昇していることから、昔ほど滑らかに回転させるのは厳しくなっている。

 しかし、1気筒500ccの直列3気筒をモノにしたように、設計や制御の技術は、大幅に進化しているから、昔よりスムーズな直6を作ることは可能だ。

 部品のクオリティも進化著しい。寸法や重量の精度も昔の直6エンジンの時代と比べて格段に高まっていて、さらに燃費向上のためにエンジン内部のフリクションロスも大幅に低減されているから、燃費だけでなく軽やかな回転フィール、鋭いレスポンスも可能になるだろう。

次ページは : ■マツダが作り上げる2種類の直6の魅力とは?

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