大型車の最高速度を20km/h上げると実際どれくらい時間短縮できるのか!? 【清水草一の道路ニュース】

◾️予想以上の時間短縮効果があった

 浜松SAでスマートICを降り、往路をスタートさせたのは午後11時51分。この時間帯になると、高速道路上はほとんどすべて大型トラックになったが、追越車線は空いていることが多く、110km/hにACCをセットして快適に走行する。

 新東名の開通によって、交通容量に余裕ができたおかげである。たまにそれ以上の速度で背後に迫る乗用車が現れるのと、同じくたまにわずかな速度差で追い越しをかける大型車が現れることだけに気を使いつつ走行した。

 御殿場JCTで東名に合流してからは、上限100km/hに変更したが、こちらも快調に走行を続け、午前2時頃、港北PAに到着してテストを終えた。結果は、このようなものになった。

<往路>
港北PA→御殿場JCT(東名:74km)
 走行時間60分 平均速度74km/h
御殿場JCT→浜松SA(新東名:135km)
 走行時間99分 平均速度82km/h

<復路>
浜松SA→御殿場JCT(新東名:135km)
 走行時間77分 平均速度105km/h
御殿場JCT→港北PA(東名:74km)
 走行時間46分 平均速度96km/h

 トータルでは、往路が2時間39分、復路は2時間3分。上限速度を20km/h上げたことで36分間(23%)の時間短縮が実現した。上限速度を2割上げても、遅いクルマに行く手を阻まれて、狙い通りに平均速度は上がらないだろうと予想していただけに、この結果は意外だった。

 要因には、走った時間帯の差もある。往路も深夜に走れば、これほどの差はつかなかったはずだ。しかし上限速度を20km/h上げたほうが、追い越しが断然楽になるため、所要時間だけでなく、ストレスも軽減されることが実感できた。

午前2時前の東名高速上り線厚木IC付近の様子。東京に近づくと深夜でも交通量が増えてくる
午前2時前の東名高速上り線厚木IC付近の様子。東京に近づくと深夜でも交通量が増えてくる

 大型車の最高速度を20km/h引き上げると、事故が増加するという意見もある。しかし、新東名で普通車の最高速度を20km/h上げても、事故は増加しなかった。その実績から考えれば、根拠は薄い。

 実走テストをした感想は、「最高速度を20km/h上げた場合、時間短縮効果もかなり大きいが、それ以上にドライバーの疲労負担が軽減される可能性がある」というものだった。

 もちろん、それがどの程度人手不足対策に資するか未知数だ。東名・新東名とも、深夜のSA・PAは、休憩や時間調整をする大型トラックで溢れかえり、入口・出口車線の路肩も埋まっている。大型車のドライバーにすれば、そちらのほうが大きな問題のはずだ。

 荷主側の都合で、ドライバーが一方的にジャストインタイムを強いられている現状が改善されなければ、大型車の最高速度を引き上げても、あまり意味のないものに終わるだろう。

【画像ギャラリー】大型車とランデブー(?)走行した深夜の東名高速テストの写真を見る!(4枚)画像ギャラリー

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