日本の高速道路が「先進国最悪の乗り心地」と言われるのはいったいなぜなのか? 【清水草一の道路ニュース】

◾️欧米の高速にジョイントが少ない理由

 なぜジョイントを設けるかというと、温度変化による橋桁の伸縮を吸収するためと、地震対策だ。橋桁を独立させることで、大規模地震の際、揺れの力を逃がす免振構造となる。

 日本の高速道路には、このジョイントがケタはずれに多い。理由としては、まず高架部が多いことが挙げられる。日本の都市部では、高速道路はどうしても高架構造にせざるを得ない。高架構造にはジョイントが付きもの。これで乗り心地が悪化する。

 日本の平野部には中小河川や水路、鉄道が多数通っていて、そのたびに橋でまたぐ必要がある。橋の両端には大抵ジョイントが設けられる。だから地方部にも「ガタン」と来るジョイントは少なくない。

 欧米の平野部にも川や道路がないわけではないが、日本に比べるとはるかに少なく、高速道路でも、地表面にそのまま建設されている区間がとても長い。

ドイツ・アウトバーン。日本では高速道路と言うと高いところを走っているイメージだが、欧米では地表面に直接建設されている区間が多い
ドイツ・アウトバーン。日本では高速道路と言うと高いところを走っているイメージだが、欧米では地表面に直接建設されている区間が多い

 結果としてジョイントはぐっと少ない。ドイツ・アウトバーンのように速度無制限区間を持つ道路もある。路面が悪かったら即大事故につながるから、凹凸はほとんど感じない。路面が鏡のように平滑だからこそ、ドイツ車のサスペンションはしっかり固めにすることができた。風土がクルマを作るのだ。

 近年、首都高や阪高、NEXCO各社とも、ジョイントを減らす改良工事を行っている。それによって、車内で感じる騒音や振動だけでなく、沿道環境も良くなる。しかし、完全に無くすことはできない。

次ページは : ◾️日本ならではの高速道路を取り巻く環境要因とは?

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